- プロジェクトマネジメント・プロセス一覧
- 基本的要素
- プロジェクトの運営環境
- プロジェクトマネージャの役割
- プロジェクト統合マネジメント
- プロジェクト・スコープ・マネジメント
- プロジェクト・スケジュール・マネジメント
- 計画
- 監視・コントロール
- アクティビティ属性
- アジャイル型プロジェクトのスケジューリング
- プレシデンス・ダイアグラム法(PDM:Precedence Diagramming Method)
- PERT(Program Evaluation Review and Technique)
- GERT(Graphical Evaluation Review and Technique)
- パーキンソンの法則
- 学生症候群
- 資源最適化
- クリティカル・パス法(CPM)
- クリティカル・チェーン法(CCPM)
- ALAP(As Late As Possible)
- コンティンジェンシー許容値
- What-If シナリオ分析
- アクティビティ依存関係
- アクティビティ属性
- プロジェクト・コスト・マネジメント
- プロジェクト品質マネジメント
- プロジェクト資源マネジメント
- プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
- プロジェクト・リスク・マネジメント
- プロジェクト調達マネジメント
- プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント
- プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ
- プロジェクトライフサイクル
- アジャイル
- 用語
プロジェクトマネジメント・プロセス一覧
10の知識エリア | 立ち上げ | 計画 | 実行 | 監視コントロール | 終結 |
---|---|---|---|---|---|
①プロジェクト統合マネジメント | ・プロジェクト憲章の作成 | ・プロジェクトマネジメント計画書の作成 | ・プロジェクト作業の指揮、マネジメント ・プロジェクト知識のマネジメント | ・プロジェクト作業の監視、コントロール ・統合変更管理 | ・プロジェクトやフェーズの終結 |
②プロジェクト・スコープ・マネジメント | ・スコープマネジメントの計画 ・要求事項の収集 ・スコープの定義 ・WBSの作成 | ・スコープの妥当性確認 ・スコープのコントロール | |||
③プロジェクト・スケジュール・マネジメント | ・スケジュールマネジメントの計画 ・アクティビティの定義 ・アクティビティの順序設定 ・アクティビティ所要期間の見積もり ・スケジュールの作成 | ・スケジュールのコントロール | |||
④プロジェクト・コスト・マネジメント | ・コストマネジメントの計画 ・コストの見積もり ・予算の設定 | ・コストのコントロール | |||
⑤プロジェクト品質マネジメント | ・品質マネジメントの計画 | ・品質のマネジメント | ・品質のコントロール | ||
⑥プロジェクト資源マネジメント | ・資源マネジメントの計画 ・アクティビティ資源の見積もり | ・資源の獲得 ・チームの育成 ・チームのマネジメント | ・資源のコントロール | ||
⑦プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント | ・コミュニケーションマネジメントの計画 | ・コミュニケーションのマネジメント | ・コミュニケーションの監視 | ||
⑧プロジェクト・リスク・マネジメント | ・リスクマネジメントの計画 ・リスクの特定 ・リスクの定性的分析 ・リスクの定量的分析 ・リスク対応の計画 | ・リスク対応策の実行 | ・リスクの監視 | ||
⑨プロジェクト調達マネジメント | ・調達マネジメントの計画 | ・調達の実行 | ・調達のコントロール | ||
⑩プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント | ・ステークホルダーの特定 | ・ステークホルダー・エンゲージメントの計画 | ・ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント | ・ステークホルダー・エンゲージメントの監視 |
知識エリア、自分なりの覚え方
そう、すすけが、恋しい子、りちょす
そう(総合)、す(スコープ)すけ(スケジュール)が、こ(コスト)ひ(品質)し(資源)こ(コミュニケーション)、り(リスク)ちょ(調達)す(ステークホルダー)
基本的要素
ポートフォリオ
戦略目標を達成するためにグループとしてマネジメントされたプロジェクト、プログラム、サブフォートフォリオ、定常業務が収集されたもの
プログラム
プロジェクトの個別的なマネジメントでは得ることができないベネフィットを得るために、調和の取れた方法でマネジメントされるプロジェクト、サブプログラム活動のグループ
プロジェクト
独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有機性のある業務
ビジネス文書
ビジネス・ケースとベネフィット・マネジメント計画書の2つがある。
これら2つは相互に依存し、反復的に作成され、プロジェクトのライフサイクル全体を通して維持される。
ビジネス・ケース(Business Case)
プロジェクトを開始する理論的な理由のこと。プロジェクトを立ち上げる目標および理由。
以降のプロジェクトマネジメント活動を認可するかどうかを判断する根拠となる。
プロジェクト終了時にプロジェクト目標に対するプロジェクトの成功を判定するのに役立つ。
下記のような情報が文書化される。
- ビジネス・ニーズ
- 状況分析(組織の戦略や目標、重要成功要因、既知のリスクなど)
- 評価(どのようにしてベネフィットが得られるようになるか)
ビジネス・ケースが作成される契機には以下のものがある。
- 市場の需要(低燃費な車がほしいな)
- 組織のニーズ(組織内でコスト削減を進めたい)
- 顧客要求
- 技術的進歩(航空会社が紙のチケットを電子チケットに切り替える)
- 法的要件(化学品メーカーが新しい有毒物質の取り扱いガイドラインを策定するプロジェクトを開始する)
- 生態系への影響
- 社会的ニーズ
ベネフィット・マネジメント計画書
プロジェクトのベネフィットがいつどのように実現するかを説明し、ベネフィットの測定を実現するためのメカニズムを説明する文書
下記のような情報が記載される。
- 目標ベネフィット(得られる有形、無形の価値)
- 目標ベネフィット実現の時間枠
- ベネフィット・オーナー(監視・記録・報告を行う責任者)
- 評価尺度
- 前提条件
- ベネフィット実現のリスク
プロジェクトの成功を評価するためにプロジェクトが完了した後も参照され続ける。
プロジェクトの立ち上げの要因
- 規制、法的、または社会的な要求事項を満たすこと。
- ステークホルダーの要求またはニーズを満たすこと。
- ビジネス戦略や技術的戦略を実行または変更すること。
- プロダクト、プロセス、またはサービスを生成、改善、修正すること。
開発アプローチ
反復型
一連の流れを反復しながら開発を行う。
プロジェクトの完成に必要なフェーズをいくつかに分割し、プロトタイプを作成し、プロジェクト・チームやステークホルダーにそれを評価してもらい、帰ってきたフィードバックをもとに内容を洗練させていく。
この作業を繰り返し、プロジェクトの不確実性を取り除いていく。
不確実性の高いプロジェクトに適したアプローチ
計画、設計、開発、テストというように進んでいく点は、予測型と似ているが、各フェーズでフィードバックを繰り返し、成果物を洗練させていく点が異なる。
時間がかかるのが弱点
斬新型アプローチ
作業を分割し、段階的に作成していく開発手法
機能A、B、Cで成り立つシステムがあれば、それぞれの機能ごとに、プロジェクトの計画、設計、開発、完了を行い、3回繰り返すことで完了となる。
メリットは頻繁に価値を提供できること。
部分的には問題ないが、全体を合わせた時に問題が発生しないように注意する必要がある。
アジャイル型
要求事項の変化に対応していく方法で、短い期間での反復を繰り返す。
変更駆動型または適応型(狭義)とも呼ばれる。
ハイブリッド型
プロジェクト全体に対し単一のアプローチを使用する必要はない。
予測型、アジャイル型両方の要素を組み合わせたものがハイブリッド型
プロジェクトスポンサー
プロジェクト・マネージャの最大の「後ろ盾」となる人物や組織のこと。
プロジェクト成功のために、資金調達、スコープの明確化、進捗の監視などのさまざまな役割を担っている。
特に、母体組織を中心にその影響力を最大限行使してさまざまなステークホルダーに対するプロジェクト支援への働きかけを行うことが重要な役割となる。
プロジェクトマネジメントのデータと情報
作業パフォーマンス・データ
アクティビティの実行中に観測した生の観察および測定値
プロジェクト・データは通常プロジェクトマネジメント情報システム(PMIS)およびプロジェクト文書に記録される。
例として下記のようなものがある。
- 終了したとして報告された作業の割合
- 品質と技術的パフォーマンス測定値
- スケジュール・アクティビティの開始日と終了日
- 変更要求数
- 欠陥数
- 実コスト
- 実所要時間
作業パフォーマンス情報
さまざまなコントロール・プロセスから収集したパフォーマンス・データ
情報の内容は分析され、複数エリアにわたる関係に基づいて統合される。
例として下記のようなものがある。
- 成果物の状況
- 変更要求の実施状況
- 残作業見積もりの予測
作業パフォーマンス報告書
作業パフォーマンス情報を物理的または電子的にまとめたプロジェクト文書
意思決定、問題提起、対策、あるいは認識を引き出すために用いる。
例として下記のようなものがある。
- 状況報告書
- メモ
- 正当性
- 情報ノート
- 電子ダッシュボード
- 推奨案
プロジェクトの運営環境
組織体の環境要因(EEF:Enterprise Environmental Factors)
プロジェクト・チームのコントールは及ばないが、プロジェクトに対して影響、制約、もしくは指示を与えるもの。
組織の内部の状況であるものと、組織の外部のものがある。
ほとんどの計画プロセスへのインプットとみなされる。
組織内のEEF
- 組織の文化、構造、およびガバナンス
(例)ビジョン、ミッション、価値観、信念、文化的規範、リーダーシップスタイル、階層と顕現の関係、組織のスタイル、倫理、行動規範 - 施設や資源の地理的分布
- インフラストラクチャ
- 情報ソフトウェア
- 資源の可用性
- 従業員の能力
組織外のEEF
- 市場の状況:競合他社、ブランド認知、商標
- 社会的、文化的な影響と課題:社会情勢、行動規範、倫理、見識
- 法的規則:セキュリティ、データ保護、商取引、雇用、調達に関する法令
- 商用データベース:ベンチマーキングの結果、標準化されたコスト見積もりデータ、業界のリスク調査情報、リスク・データベース
- 学術研究:業界研究、出版物、ベンチマーキングの結果
- 国家標準または業界標準:プロダクト、生産、環境、品質、技量に関係した規則や基準
- 財務上の考慮事項:為替レート、金利、インフレ率、関税、地理的位置
- 物理的な環境要因:労働条件、天候および制約条件
- 現地の習慣や実務慣行
組織のプロセス資産(OPA:Organizational Process Assets)
母体組織によって使われる特有の計画、プロセス、方針、手続き、および知識ベース
これらの資産はプロジェクトのマネジメントに影響をもたらす。
プロセス、方針および手続き
- 標準プロセス、ガイドライン
- 方針(例:人事方針、安全方針、セキュリティおよび機密保持方針、品質方針、調達方針)
- プロダクト・ライフサイクル、プロジェクト・ライフサイクル
- 手法と手続き
- テンプレート
- 事前承認された納入者リストおよび契約上の合意
- 母体組織の標準書
- 財務管理の手続き
- 課題と欠陥のマネジメント手続き
組織の知識リポジトリ
- ソフト、ハードの構成要素のバージョン
- 母体組織の標準、方針、手続き、構成管理の方針
- 労働時間、発生コスト、予算などの財務データ
- 過去のプロジェクトの情報や教訓
- 課題と欠陥の解決策
- プロセスやプロダクトの測定データ活用のためのメトリクス
- 過去のプロジェクトのプロジェクトファイル(ベースライン、リスク登録簿など)
プロジェクトの組織構造
組織構造のタイプ | ワークグループの手配担当 | プロジェクトマネージャの権限 | プロジェクトマネージャの役割 | 資源の可用性 | プロジェクト予算の管理者 | プロジェクトマネジメント管理スタッフ |
機能部門 | 職種別 | 限られている、またはない | 兼任 | 限られている、またはない | 機能部門マネージャ | 兼任 |
弱いマトリックス | 機能別 | 低 | 兼任 | 低 | 機能部門マネージャ | 兼任 |
強いマトリックス | 機能別 | 中〜高 | 専任の特定職務 | 中〜高 | プロジェクト・マネージャ | 専任 |
プロジェクト指向 | プロジェクト別 | 高〜ほぼ完全 | 専任 | 高〜ほぼ完全 | プロジェクト・マネージャ | 専任 |
PMO
プロジェクトマネジメント・オフィスはプロジェクトに関するガバナンス・プロセスを標準化し資源、方法論、ツール及び技法の共有を促進する組織構造である。
支援型
支援型PMOはテンプレート、ベストプラクティス、トレーニング、他のプロセスからの情報や教訓へのアクセスを提供することによりプロジェクトへの助言を与える。
プロジェクトのリポジトリとして機能する。PMOによるコントロールの度合いは低い。
コントロール型
コントロール型PMOは支援を行うとともに、さまざまな手段を通して、コンプライアンスを要求する。
コントロールの度合いは中程度
含まれるコンプライアンスは以下
- プロジェクトマネジメントの枠組みまたは方法論の採用
- 特定のテンプレート、フォームおよびツールの使用
- ガバナンスへの取り組みへの適合性
指揮型
指揮型PMOは直接プロジェクトをマネジメントすることでプロジェクトをコントロールする。
プロジェクトマネージャはPMOによって任命され、PMOに報告する。
PMOによるコントールの度合いは高い。
プロジェクトマネージャの役割
タレント・トライアングル
プロジェクト・マネージャが保有すべき3つの主要なスキルセット
- テクニカル・プロジェクトマネジメント:プロジェクトマネジメント、プログラムマネジメント、およびポートフォリオの特定の領域に関する知識、スキルおよび振る舞い。役割を担うテクニカルな側面
- リーダーシップ:チームを統率してモチベーションを与え、組織の事業目的を達成する上で、必要な知識、および振る舞い。
- 戦略およびビジネスのマネジメント:パフォーマンスを高め、効果的にビジネス成果をもたらす業界および組織の知識と専門技術
統合の実施
プロセス・レベルでの統合
PMBOKのプロセスに実際のプロジェクトを整合させること?
認知レベルでの統合
プロジェクト・マネージャは常にプロジェクト・マネジメントの知識に熟達するよう努力することが求められる。
またそれらをプロジェクトに適用していく必要がある。
コンテキスト・レベルでの統合
ソーシャルネットワーク、多文化の要素、バーチャルチームなど新しい技術の導入により、プロジェクトの置かれている環境は大きく変化している。
プロジェクト・マネージャはこういった新しい面と、プロジェクトを整合させていく必要がある。
プロジェクト統合マネジメント
立上げ
プロジェクト憲章の作成
プロジェクト憲章を作成する。
インプット
- ビジネス文書(ビジネス・ケース、ベネフィット・マネジメント計画書)
- 合意書(契約など)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集(ブレーン・ストーミング、フォーカス・グループ、インタビュー)
- 人間関係とチームに関するスキル(コンフリクト・マネジメント、ファシリテーション)
- 会議
アウトプット
- プロジェクト憲章
- 前提条件ログ(前提条件、制約条件)
計画
プロジェクトマネジメント計画書の作成
全ての計画構成要素を定義し、作成し、調整するとともに、これらを統合されたプロジェクトマネジメント計画書へ集約するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- 他プロセスからのアプトプット
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集
- 人間関係とチームに関するスキル
- 会議(キックオフ会議)
アウトプット
- プロジェクトマネジメント計画書(各種補助マネジメント計画書、各種ベースライン、変更マネジメント計画書、コンフィグレーションマネジメント計画書)
実行
プロジェクト作業の指揮・マネジメント
プロジェクトマネジメント計画書で定義された作業をリードし、遂行し、また承認済み変更要求を実施するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 承認済み変更要求
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- プロジェクトマネジメントシステム(PMS)
- 会議
アウトプット
- 成果物
- 作業パフォーマンス・データ
- 課題ログ
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
プロジェクト知識のマネジメント
既存の知識を使用し、新しい知識を創造するプロセス
教訓登録簿が作成される。
知識はプロジェクト期間中に使用されることが前提で、必ずしも将来のプロジェクトのためだけのものではない。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(教訓登録簿)
- 成果物
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- 知識マネジメント(ナレッジマネジメント)
- 情報マネジメント
- 人間関係とチームに関するスキル
アウトプット
- 教訓登録簿
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- 組織のプロセス資産更新版
監視・コントロール
プロジェクト作業の監視・コントロール
プロジェクト全体の計画と実績を比較して変更要求をだす。
作業パフォーマンス報告書を作成する。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 作業パフォーマンス情報
- 合意書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析(差異分析、根本原因分析、アーンドバリュー分析)
- 意思決定
- 会議
アウトプット
- 作業パフォーマンス報告書
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
統合変更管理
全ての変更要求をレビューし、変更を承認して、成果物、プロジェクト文書、プロジェクトマネジメント計画書へ変更を反映し、決定事項を伝達するプロセス
ベースラインが確立するまでは統合変更管理プロセスで正式にコントロールされるよう要求されることはない。
発案は口頭でも構わないが、必ず書面に記録し変更管理システムや、コンフィグレーション・マネジメント・システムに入力しなければならない。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 作業パフォーマンス報告書
- 変更要求
- 組織のプロセス資産(変更管理システム)
ツールと技法
- 専門家の判断
- 変更管理ツール
- データ分析
- 意思決定
- 会議(CCB)
アウトプット
- 承認済み変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版(変更ログ)
終結
プロジェクトやフェーズの終結
プロジェクト、フェーズ、または契約上の全ての活動を完結するプロセス
- 全ての文書と成果物が最新であり、全ての課題が解決されていることを確認する。
- 成果物の配布と、顧客による正式な受け入れを確認する。
- 全てのコストがプロジェクトに請求されていることを確認する。
- プロジェクトの会計を閉じる。
- 人員を配置転換する。
- 余分なプロジェクト資材に対処する。
- プロジェクトの施設、装置、その他資源を再分配する。
- 組織方針で必要とされている最終的なプロジェクト報告を詳細に記載する。
契約合意完了に関連する行動
- 納入者の仕事の正式な受け入れを確認する。
- 未解決のクレームを最終処理する。
- 最終結果を反映させるために記録を更新する。
- 将来の利用に備えて情報を保管する。
必要な活動
- プロジェクトやフェーズの記録を収集する。
- プロジェクトの成功または失敗を監査する。
- 知識の共有と移転をマネジメントする。
- 教訓を特定する。
- 組織が将来活用できるようにプロジェクト情報を保管する。
プロジェクトのプロダクト、サービス、あるいは所産を次のフェーズ、生産部門、運用部門に引き渡す。
組織体の方針や手続きを改善または更新するための提案の収集
ステークホルダーの満足度を特定する。
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 受け入れ済み成果物
- ビジネス文書
- 合意書
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析
- 会議
アウトプット
- プロジェクト文書更新版
- 最終プロダクト、サービス、所産の移管
- 最終報告書
- 組織のプロセス資産更新版
プロジェクト憲章
プロジェクトの発足を正式に認可する文章
以下のようなものが記載される。
- プロジェクトの目的や成功基準
- ハイレベルの要求事項
- 主要な成果物
- プロジェクト全体リスク
- 要約マイルストーン・スケジュール
- 事前承認された財源
- 主要ステークホルダー・リスト
- プロジェクト終了基準
- プロジェクト・マネージャーの責任権限レベル
- プロジェクト憲章を認可するものの名前
プロジェクトのイニシエーターまたはスポンサーが発行すべきであるが、その作成にプロジェクト・マネージャーが関与するのが望ましい。
プロジェクト憲章が発行認可されることで、プロジェクト・マネージャーはプロジェクトを計画し、実行し、コントロールする権限を持つことができる。
前提条件ログ
プロジェクトに与えられた条件を事前に記録するためのもの
ビジネスケースによって特定される、ハイレベルの戦略的及び業務上の前提条件及び制約条件がプロジェクト立ち上げ時に特定されプロジェクト憲章に反映される。
前提条件ログはプロジェクトライフサイクル全体での全ての前提条件、制約条件を記述するために使用される。
- 前提条件:プロジェクトにおいて自ら設定したもの。
- 制約条件:周囲の要因などから与えられたもの。
プロジェクトマネジメント計画書
プロジェクトマネジメントに関するすべての計画をまとめた計画書
プロジェクトの実行を管理するために使用される。
プロジェクトマネジメント計画書を作成する目的は、計画段階で意思決定した内容を文書化し、プロジェクトの実績測定基準となるベースラインを設定し、プロジェクトを遂行する上での指針を与えることにある。
プロジェクトベースライン
正式に承認されたプロジェクトの計画
プロジェクトの途中での実績評価はベースラインと対比して行われる。
重要なベースラインは以下3つ。
- スコープ・ベースライン(スコープ記述書、WBS、WBS辞書)
- スケジュールベースライン(マスター・スケジュール)
- コスト・ベースライン(予算化の結果として作成される)
時間軸に対応させて認可済予算を積算したもの。プロジェクトのコスト実績の測定や監視に用いる。横軸が時間、縦軸が金額となり、通常S字カーブを描く。
ベースラインの変更は正式な変更管理プロセスを通してのみ、行うことができる。
パフォーマンス測定ベースライン
パフォーマンスを測定しマネジメントするためにそれに照らしてプロジェクトの実行が比較される。
スコープ、スケジュール、コストの計画を統合したベースライン
補助マネジメント計画書
- スコープ・マネジメント計画書
- 要求事項マネジメント計画書
- スケジュール・マネジメント計画書
- コスト・マネジメント計画書
- 品質マネジメント計画書
- 資源マネジメント計画書
- コミュニケーション・マネジメント計画書
- リスク・マネジメント計画書
- 調達マネジメント計画書
- ステークホルダー・エンゲージメント計画書
追加構成要素
プロセスのアウトプットとして出力されるのではなく、プロセス中に作成されるもの。
- 変更マネジメント計画書
- コンフィギュレーション・マネジメント計画書
- パフォーマンス測定ベースライン
- プロジェクト・ライフサイクル(プロジェクトのフェーズ)
- 開発アプローチ
- マネジメント・レビュー
プロジェクトマネージャおよび関連するステークホルダーがプロジェクトの進捗状況をレビューしてパフォーマンスが期待通りかまたは予防措置や是正措置が必要かどうかを判断する、プロジェクトにおける特定時点のこと
費用便益分析
費用対効果分析とも呼ばれる。
特定の行動を取るかどうかに判断するのに有効、便益から費用を差し引いて純利益を求める。
費用が便益を上回る場合、その案を選択すべきではない。
BCR(Benefit-Cost Ratio)
収益/費用で計算される。
一般的にBCRが1以上であれば投資適格と判断される。
便益(ベネフィット)はトータルな総収入や顧客満足度まで含まれるトータルベネフィットを指す。
変更マネジメント
コンフィギュレーション・マネジメント
コンフィギュレーションとは、仕様書や図面などに記載されている機能や特性のこと
コンフィギュレーション・マネジメントは生成されるプロダクトまたはサービスの変更、プロジェクト文書の変更をマネジメントするためのツール
サブシステムの一つとして変更管理システムを持つ
コンフィギュレーション・マネジメント計画書が作成される。
コンフィギュレーション・マネジメント計画書
プロジェクトの中で作成した様々な文書、資料を変更する際のバージョン管理の方法をまとめた文書のこと。
- プロジェクト生成物の特定
- プロジェクト生成物の追跡と確認
- プロジェクト生成物の変更の監視とコントロール
変更管理システム
プロジェクトの成果物の修正をどのようにマネジメントするか記述した一連の手順
要求事項が出されたら変更管理システムによって処理される。
変更管理委員会(CCB)
プロジェクトへの変更をレビュー、評価、承認、保留、却下しその決定を記録伝達することに責任を持つ認可されたグループ
変更マネジメント計画書
変更管理委員会(CCB)の設立、権限範囲、変更管理システムの実行方法を記述したプロジェクトマネジメント計画書の構成要素
変更を提案できるのは誰になるかの定義
変更を評価する手順
- 変更管理委員会
- 権限範囲(変更管理委員会の変更範囲)
- 変更管理システムの実行方法
統合変更管理
プロジェクトの開始から完了に至るまで実施され、プロジェクト・マネージャが最終的な責任を負う。
プロジェクトに関する全てのステークホルダーが要求することができ、プロジェクトのライフサイクル全体を通していつでも発生する可能性がある。
変更は必ず書面に記録して変更管理システムや、コンフィギュレーション・マネジメント・システムに入力する。
変更要求には承認に先立って影響範囲の見積もりが必要となる場合がある。
プロジェクトベースラインのいずれかに影響を及ぼす場合は、常に正式な変更管理プロセスが必要となる。
緊急時は必ずしも定例のCCBで承認を行うのではなく、後承認などで対応する。
プロジェクト変更の要因
- 不正確な初期見積もり
- 仕様の変更
- 新しい規則
- 要求事項の欠落
プロジェクト変更の流れ
- 変更の特定
- 変更の文書化
- 変更の影響分析
- アクション:CCBによる承認
- 関連計画書の更新
変更管理が発生した際に、プロジェクトマネージャがやること
- 変更要求によるスコープ変更の影響が契約範囲内に収まることを確認する。
- スケジュールやコストに影響しないか確認する。
- CCBに変更要求を提出する。
変更管理のアウトプット
- 承認済み変更要求(是正処置、予防処置、欠陥修正)
- プロジェクトマネジメント計画書更新版(変更ログ)
プロジェクトの完了ガイドライン
以下のようなものが含まれる
- 最終的なプロジェクト監査
- プロジェクト評価
- 成果物受け入れ
- 契約集結
- 資源の再割当て
- 本稼働や定常業務への知識の移行
プロジェクト・スコープ・マネジメント
計画
スコープ・マネジメントの計画
プロジェクト・スコープ・マネジメント全体の計画を立て、スコープマネジメント計画書、要求事項マネジメント計画書を作成するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析
- 会議
アウトプット
- スコープ・マネジメント計画書
- 要求事項マネジメント計画書
要求事項の収集
ステークホルダーのニーズや要求事項を決定し、文書化し、マネジメントするプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書(スコープマネジメント計画書、要求事項マネジメント計画書、ステークホルダー・エンゲージメント計画書)
- プロジェクト文書(ステークホルダー登録簿)
- ビジネス文書
- 合意書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集(ブレーンストーミング、インタビュー、フォーカス・グループ、アンケートと調査、ベンチマーキング)
- データ分析
- 意思決定(多基準意思決定分析)
- データ表現(親和図、マインド・マップ法)
- 人間関係とチームに関するスキル(ノミナル・グループ技法、ファシリテーション)
- コンテキスト・ダイアグラム
- プロトタイプ
アウトプット
- 要求事項文書
- 要求事項トレーサビリティ・マトリックス
スコープの定義
作業範囲や成果物を詳細化して、プロジェクト・スコープ記述書を作成する。
要求事項の収集で特定された要求事項の全てがプロジェクトに含められるわけではない。
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(要求事項文書)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析(代替案分析)
- 意思決定
- 人間関係とチームに関するスキル
- プロダクト分析(プロダクト・ブレークダウン、システム分析、価値分析)
アウトプット
- プロジェクト・スコープ記述書(プロダクト・スコープ記述書)
- プロジェクト文書更新版
WBSの作成
プロジェクト・スコープ記述書で定義された成果物を元にWBSを作成する。
WBSは成果物、プロジェクト作業をよりマネジメントしやすいように構成要素に分解する。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(プロジェクト・スコープ記述書)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- 要素分解
アウトプット
- スコープ・ベースライン(WBS、WBS辞書、プロジェクト・スコープ記述書)
- プロジェクト文書更新版
監視・コントロール
スコープの妥当性確認
完成した成果物を正式に受け入れるプロセス
必要に応じて、プロジェクト全体を通して定期的に行われる。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 検証済み成果物
- 作業パフォーマンス・データ
ツールと技法
- 検査(ユーザーテスト)
- 意思決定
アウトプット
- 受入れ済み成果物
- 作業パフォーマンス情報
- 変更要求
- プロジェクト文書更新版
スコープのコントロール
プロジェクト・スコープの状況を監視し、計画通りに作業が進んでいることを確認する。
スコープ・ベースラインへの変更をマネジメントする。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(スコープ・ベースライン)
- プロジェクト文書
- 作業パフォーマンス・データ
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- データ分析(差異分析、傾向分析)
アウトプット
- 作業パフォーマンス情報
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版(スコープ・ベースライン)
- プロジェクト文書更新版
スコープ・マネジメント計画書
プロジェクト・スコープを定義、文書化、管理、検証する方法を説明するために作成される文書
- プロジェクト・スコープ記述書を作成するためにどのような準備が必要か。
- プロジェクト・スコープ記述書からWBSをどうやって作成するか。
- プロジェクト・ベースラインを承認し、保持する方法をどのように確立するか。
- 成果物をどうやって受け入れるか。
要求事項マネジメント計画書
プロジェクトの要求事項を分析、文書化し、その内容を管理していく計画をまとめたもの
- どのように要求事項を収集するか。
- 要求事項に変更があった場合どのような手続きを持って対応するか。
- どうやって優先順位をつけるか。
- 要求事項管理のために使う基準や指標
- 取集した要求事項をどのように追跡するか。
要求事項の収集
プロジェクトのスコープを定めるために必要な要求事項を収集し、文書化する。
要求事項をベースライン化するためには、明瞭性(測定とテストが可能なこと)、追跡可能性、完全性、一貫性を満たすように要求を定義してステークホルダーに受け入れてもらう必要がある。
要求事項は下記のように分類される。
- ビジネス要求事項:プロジェクトを立ち上げるに至ったビジネス上の課題や好機など。
- ステークホルダー要求事項:ステークホルダーのニーズ
- ソリューション要求事項:プロダクト、サービス、所産の機能および特性
機能要求事項:プロダクトの振る舞い
非機能要求事項:プロダクトに求められる環境条件や品質 - 移管及び準備状況への要求事項:成果物を移管するために必要なこと
- プロジェクト要求事項:プロジェクトが満たすべきその他の条件
- 品質要求事項:成果物が受け入れられるために必要な条件や基準
要求事項トレーサビリティ・マトリックス
プロジェクトを通して要求事項の追跡(トレース)を行う際に利用する。
プロジェクトを通して要求事項を追跡するための表で、要求事項ごとにその属性や理由、完了時期などを記録していく。
記載する項目は下記のようなものになる。
- 要求事項
- ビジネス・ニーズ
- 目標
- 設計
- 開発
- テスト
要求事項を追跡することの利点
- 各要求事項をビジネス目標/プロジェクト目標に結びつけ、各要求事項が事業価値を確実に実現できるようにする。
- プロジェクト完了時点で、承認された要求事項が達成されていることを確認できる。
- プロダクト・スコープの変更をマネジメントする仕組みを提供する。
要求事項文書
個々の要求事項がプロジェクトのビジネス・ニーズを満たす方法について記述したもの。
要求事項はハイレベルから始まるが、多くの情報が明らかになるにつれて段階的に詳細化される。
(例)品質の良いものを作ってほしいといった漠然とした要求を、段階的に詳細化する。
コンテキスト・ダイアグラム
ビジネスのプロセスや使われる装置、コンピュータ・システムなどのビジネス装置に対して、ユーザーやその他のシステムがどのように相互作用しているかを表した図解表現
書き方に明確なルールはないが一般的には下記のように作成する。
- テーマのビジネス、システムを中心に書く
- その周りにユーザーや情報、その他のシステムを記載し関連性を記述する。
プロジェクト・スコープ記述書
プロジェクトのスコープ(作業範囲や成果物について詳細に記述した文書)
- プロダクト・スコープ記述書:要件定義に近い、何を作るか、どんな機能を持つか
- 成果物:各プロセスやアクティビティを完了した結果生み出されるもの(例:要件定義書、設計書)
- 受入基準:成果物を受け入れる前に満たしておく条件
- プロジェクトからの除外事項:このプロジェクトではやらないこと
プロダクト・スコープ記述書
プロジェクト憲章および要求事項に記述のあるプロダクト、サービスまたは所産の特徴を段階的に詳細化したもの。
WBSの作成
プロジェクトの成果物及び作業を、マネジメントしやすい構成要素へとより詳細に分解してWBS(Worak Breakdown Structure)を作成する。
WBSの効果
- 詳細なWBSを作成することで、コストやスケジュールの見積もりの単位が明確になり、精度の良い見積もりが可能になる。
- 作業の責任分担が明確になる。
- 実績を測定しコントロールするベースラインを決めるのに役立つ。
- ステークホルダーが成果物を一覧する助けになり、コミュニケーションの円滑化に寄与する。
ワーク・パッケージ
WBSの最小単位の構成要素
成果物、またはプロダクトを意味する。
アクティビティ
ワーク・パッケージをより小さな作業単位に要素分解したもの。
CA(コントロール・アカウント)
WBSにおいてマネジメント上のコントロールを行うために設定するポイント(複数のワーク・パッケージを含んだもの)のことである。
この単位での作業の計画をコントロール・アカウント・プラン(CAP)と呼ぶ。
ワーク・パッケージのコスト見積もりにコンティンジェンシー予備を加えたものでコスト・ベースラインの構成要素となる。
計画中のパッケージ
コントロール・アカウントの下位で、ワーク・パッケージよりは上位にあるWBSの構成要素
作業内容は明らかであるが、詳細なスケジュール・アクティビティはない。コストや予算が適用されていないこともある。
ローリング・ウェーブ計画法を用いる際、詳細化が不十分な部分については、計画中のパッケージをアクティビティとして利用する。
WBS辞書
WBSを補完する文章
WBSの各構成要素に関する詳細な成果物、アクティビティ、およびスケジュール情報を含む文書
- 詳細な成果物
- アクティビティ
- スケジュール情報
- 作業内容
- 制約条件
- 受け入れ基準
ビジネスアナリシス専門家との協業
スコープ・マネジメントの新たな実務慣行としてビジネスアナリシス専門家との協業が行われるようになってきた。
- 問題を決定しビジネス・ニーズを特定する。
- 上記ニーズを満たすソリューションを特定する。
- ステークホルダーの要求事項を引き出し、文書化する。
プロダクト分析
製造するプロダクトの使用方法、特性、その他関連する側面についてまとめたもの。
ツールと技法には以下が含まれる。
- プロダクト・ブレークダウン
- 要求事項文書
- システム分析
- システムズ・エンジニアリング
- 価値分析
- 価値工学
プロジェクト・スケジュール・マネジメント
計画
スケジュール・マネジメントの計画
スケジュールに関する計画書を作成するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章(要約マイルストーン・スケジュール)
- プロジェクトマネジメント計画書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析
- 会議
アウトプット
- スケジュール・マネジメント計画書
アクティビティの定義
プロジェクトの成果物を生成するために遂行すべき具体的な行動を定義するプロセス
WBSのワークパッケージから、アクティビティ・リスト、アクティビティ属性、マイルストーンなどを作成
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(WBSのワークパッケージ)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- 要素分解
- ローリング・ウェーブ計画法
- 会議
アウトプット
- アクティビティ・リスト
- アクティビティ属性
- マイルストーン・リスト
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
アクティビティの順序設定
依存関係を特定し、アクティビティの順序を決定するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(アクティビティ属性、アクティビティ・リスト、マイルストーン・リスト)
- 組織体の環境要因
- 組織体のプロセス資産
ツールと技法
- プレシデンス・ダイアグラム法
- 依存関係の決定と統合
- リードとラグ
- プロジェクトマネジメント情報システム
アウトプット
- プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図
- プロジェクト文書更新版(アクティビティ属性、アクティビティ・リスト、前提条件ログ、マイルストーン・リスト)
※アクティビティ・リスト、マイルストーン・リストは「アクティビティの定義」プロセスのアウトプットだが、「アクティビティの順序設定」プロセスで変更される場合がある。
アクティビティ所要時間の見積もり
特定した資源を持って個々のアクティビティを完了するために必要な所要時間を見積もるプロセス
「アクティビティ資源の見積り」プロセスの後に実施される
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(アクティビティ・リスト、資源に関する情報)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- 類推見積り
- パラメトリック見積り
- 三点見積り
- ボトムアップ見積り
- データ分析(予備設定分析)
- 意思決定
- 会議
アウトプット
- 所要時間見積り
- 見積もりの根拠
- プロジェクト文書更新版
スケジュールの作成
プロジェクト全体のスケジュールを作成するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(アクティビティ・リスト、所要時間見積り、PDM、資源カレンダー、資源要求事項、プロジェクトチームの任命)
- 組織体の環境要因
- 組織体のプロセス資産
ツールと技法
- スケジュール・ネットワーク分析
- クリティカル・パス法
- 資源最適化
- データ分析(What-Ifシナリオ分析、シミュレーション)
- リードとラグ
- スケジュール短縮
アウトプット
- スケジュール・ベースライン
- プロジェクト・スケジュール(マイルストーン・チャート、ガント・チャート、プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図)
- スケジュール・データ
- プロジェクト・カレンダー
- 変更要求
監視・コントロール
スケジュールのコントロール
スケジュールが計画通りに進んでいることを定期的に確認する。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(スケジュール・ベースライン)
- プロジェクト文書
- 作業パフォーマンス・データ
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- データ分析(アーンドバリュー分析、イテレーション・バーンダウン・チャート、差異分析、傾向分析)
- クリティカル・パス法
- プロジェクトマネジメント情報システム
- 資源最適化
- リードとラグ
- スケジュール短縮
アウトプット
- 作業パフォーマンス情報
- スケジュール予測
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
アクティビティ属性
各アクティビティに関連する複数の要素を特定することでアクティビティの記述を拡張する。
- アクティビティ識別子(ID)
- WBS識別子
- アクティビティ名称
- 順序関係(先行、後続アクティビティ)
- リードとラグ
- 資源要求事項
- 指定日
- 制約条件
- 前提条件
アジャイル型プロジェクトのスケジューリング
オンデマンド・スケジューリング
「オンデマンド」とはユーザーに要求された時にサービスを提供すること。
オンデマンド・スケジュールは要求された時に提供を行うスケジュール技法のこと。
事前に作成したスケジュールに依存するのではなく、資源が利用可能になると、バックログの待ち行列から実施すべき作業を取り出す。(プル・システム)
カンバン方式が有名
プレシデンス・ダイアグラム法(PDM:Precedence Diagramming Method)
Precedenceは「先行の」Diagrammingは「図式」という意味がある。
アクティビティ間の順序関係をネットワーク的な図式で表現したものをプロジェクト・スケジュール・ネットワーク図という。
PDMでは下記4つの順序関係が表現できる。(Fは「Finish」、Sは「Start」)
- FS(終了ー開始)関係:先行の作業が終了しないと後続の作業が開始できない。
- FF(終了ー終了)関係:先行の作業が終了しないと後続の作業が終了できない。
- SS(開始ー開始)関係:先行の作業が開始しないと後続作業が開始できない。
- SF(開始ー終了)関係:先行の作業が開始しないと後続の作業が終了できない。
PDMのアクティビティは下記のように表現する。
最早終了(開始)日:商用時間から見積もると、最も早く該当アクティビティを開始(終了)できる期日
最遅開始(終了)日:プロジェクトの終了期日からさかのぼると、遅くともこの日までに該当アクティビティを開始(終了)しなければならないという期日
フロート
フロート(Float)
プロジェクトの終了日を遅らせることなく、あるアクティビティの開始を遅らせることのできる期間。
Floatは「浮く、余裕時間」の意味がある。
トータル・フロート、スラックとも呼ぶ。
フリー・フロート(Free Float)
後続アクティビティの開始を遅らせることなく、あるアクティビティの開始を遅らせることができる期間
リードとラグ
リード(Lead)
後続アクティビティの開始を早め、先行アクティビティと期間的に重なり合わせることができる時間
ラグ(Lag)
先行アクティビティの終了から、後続アクティビティが開始するまで一定期間を置かなければならない時間
PERT(Program Evaluation Review and Technique)
所要時間の見積もりに、統計的推定を取り入れた三点見積もりを採用した手法
三点見積もりとは、金額や工数を「楽観値」「最可能値(最もありそうな値)」「悲観値」の三点で見積もること。
PERT加重平均値(所要時間の期待値)A=(O+4M+P)/6
- A:平均値
- O:楽観値
- M:最可能値
- P:悲観値
GERT(Graphical Evaluation Review and Technique)
確率的処理を行うことができるスケジュール技法、条件などによって実行されないなどのロジック分岐や、アクティビティ間のループ表現が可能となる。
パーキンソンの法則
ノースコート・パーキンソンが提唱した法則
- 仕事の量は、完成までに与えられた時間を全て使い切るまで膨張する。
- 支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。
プロジェクトのスケジューリングにおいて、作業者は作業バッファを与えると時間を使い切ってしまう傾向があることを頭に入れておく必要がある。
学生症候群
期限ギリギリまで作業を先延ばしにする傾向のこと。
資源最適化
資源平準化(Resource Leveling)
最早開始日をもとにスケジュールを作成すると、一定期間内に投入可能な量以上の資源が必要となることがある。
このとき、現実的なスケジュールを作成するために資源の投入を平準化する。
少ない資源を、まずクリティカルパス上のアクティビティに割り当てることで資源の制約条件を反映したスケジュールを作成することができる。
資源平準化を行うと、当初のスケジュールよりプロジェクト期間が長くなることが多い。
資源円滑化(Resource Smoothing)
あるスケジュールで資源の制約上限を越える時期が発生しているような場合に、クリティカル・パスを変更しないままフロートの範囲内でアクティビティの着手時期を調整する方法。
フロートが許す限りでの調整になるので、資源すべてを最適化できないこともあり得る。
クリティカル・パス法(CPM)
プロジェクトが完了するまでにかかる最長経路(クリティカル・パス)を計算し、他のアクティビティの最早開始日、最遅終了日を求める。
クリティカル・チェーン法(CCPM)
クリティカル・パス法では資源の制限を考慮しないが、クリティカル・チェーン法では、資源を考慮に入れてクリティカルパスを調整する。
絶対に必要なリソースと依存関係にあるタスクの優先度を見極め、可能な限り効率的にプロジェクトを完了する方法
バッファーはプロジェクト全体で管理し、プロジェクトの最後にまとめて配置する。
遅れが発生した場合は、そのバッファを取り崩す。
納期を守るために必要なバッファーと残りのバッファーを比較してスケジュール状況の判断ができる。
ALAP(As Late As Possible)
「可能な限り遅く」という概念で、クリティカル・チェーン法を用いる時に適用する。
最終終了日から逆算したスケジューリングを行うことで、資源のバッファーを確保する。
コンティンジェンシー許容値
「contingency」は「万一」「偶発」といった意味がある。
コンティンジェンシーに関する不確実性はプロジェクトの進行とともに減少する。
プロジェクトの集結に向けてコンティンジェンシー許容値も残作業の割合を反映し、減少させる。
What-If シナリオ分析
「仮説を立てたシナリオが発生した場合にどうなるのか」を考えていく分析手法
「スケジュール作成の作成」プロセスで利用される
シナリオがどの程度の確率で発生するか、発生した場合の影響度がどのくらいかを分析する。
(例)部品納入の遅れ、所要時間の延長、認可手続きの変更など
アクティビティ依存関係
作業の順序設定2つの切り口
- 強制依存関係(ハードロジック):法的、あるいは契約的に作業の順序が決められているアクティビティの順序関係
- 任意依存関係(ソフトロジック):特定の順序で進めることが望ましいアクティビティの順序関係
外部と内部という切り口
- 外部依存関係:プロジェクト内の作業とプロジェクト外の作業の順序設定(裁判所の認可が必要など)
- 内部依存関係:プロジェクト内の依存関係
アクティビティ属性
各アクティビティに関連する複数の要素を特定することによって、アクティビティの記述を拡張する。
初期の段階では、識別子(ID)や名称だけだが最終的には、アクティビティ記述、先行アクティビティ、後続アクティビティ、論理的順序関係、リードとラグ、資源要求事項、指定日、制約条件および前提条件が含まれる。
プロジェクト・コスト・マネジメント
計画
コスト・マネジメントの計画
プロジェクト・コストを見積もり、予算化し、マネジメントし、監視し、コントロールする方法を定義するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析
- 会議
アウトプット
- コストマネジメント計画書
コストの見積もり
プロジェクト作業を完了するために必要な資源コストを概算するプロセス
アクティビティ所要時間の見積もりプロセスと同時進行する。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(プロジェクト・スケジュール)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- 類推見積り
- パラメトリック見積り
- ボトムアップ見積り
- 三点見積り
- データ分析
- プロジェクトマネジメント情報システム
- 意思決定
アウトプット
- コストの見積り
- 見積りの根拠
- プロジェクト文書更新版
予算の設定
各アクティビティを完了するために必要な予算を集約して、コスト・ベースラインを設定するプロセス
スケジュールの作成が終わった後に予算が設定される。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(コスト見積り)
- ビジネス文書
- 合意書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- コスト集約
- データ分析
- 過去の情報レビュー
- 資金限度額による調整
- 債務管理
アウトプット
- コスト・ベースライン
- プロジェクト資金要求事項
- プロジェクト文書更新版
監視・コントロール
コストのコントロール
プロジェクト・コストを更新するためにプロジェクトの状況を監視し、コスト・ベースラインへの変更をマネジメントするプロセス
インプット
- プロジェクト・マネジメント計画書(コスト・ベースライン)
- プロジェクト文書
- プロジェクト資金要求事項
- 作業パフォーマンス・データ
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析(アーンド・バリュー分析、差異分析、傾向分析)
- 残作業効率指数
- プロジェクトマネジメント情報システム
アウトプット
- 作業パフォーマンス情報
- コスト予測
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
コスト・ベースライン
時間軸ベースのプロジェクト予算の承認版であり、マネジメント予備は含まない。
通常S字カーブを描く。
機会コスト(オポチュニティーコスト)
ある意思決定をした時、その他のやり方をとっていたら得られたであろう利益のこと。
矛の利益を取り損なったと考え、逸失利益と呼ぶこともある。
A案であれば100万円の利益、B案であれば80万円の利益、両方はできないためA案を選択した時、B案で得られるはずだった80万円が機会コストとなる。
選択肢なかったB案の機会コストを考慮することで、選択されたA案の意義や求められる利益が明確になる。
パラメトリック見積もり
数学的モデルを利用してプロジェクトのコストを見積もる。
COCOMOモデル、Putnamモデル、ファンクションポイント法による見積もりなどがこれに当たる。
COCOMOモデル
数式を使って開発工数を見積もる。数式は複数存在する。
E(開発工数)=a(定数)*KLOC(ソースコードの行数)のb乗(定数b)
Putnamモデル
ソフトウェア開発のコンサルティング会社を経営していたプットナムによって提案されたソフトウェア開発の見積もり方法の一つ。
大規模、超大規模プロジェクトに向けた見積もり手法
数式で、ステップ数や走行数の算出が可能
ファンクションポイント法
ソフトウェアの機能ごとに、その複雑さからファンクションポイントという点数をつけていきポイント合計から規模や工数を算出する。
ボトムアップ見積もり
WBSに詳細に展開した個々のアクティビティ、あるいはワーク・パッケージ単位でコストを見積もり、それらを集計してプロジェクト全体のコストを算出する。
予備について
コンティンジェンシー予備
基地のリスクに対して備えておく予備で「既知の未知」とも呼ばれる。
プロジェクトのコスト・ベースラインに組み込まれている。
リスク登録簿で特定されたリスクが計画外の現象として発生した時に、そこで必要となる諸変更を実施するための費用の引当金
マネジメント予備
計画時に予見できないような未知のリスクに備えておく予備費で「未知の未知」とも呼ばれる。
コスト・ベースラインには含まれておらず、マネジメント予備を使用する際には承認手続きを経てコスト・ベースラインを変更する必要がある。
予備設定分析
コストや予算に対する予備費の分析を行うこと。
予備費は原価総額に対して一定比率を採用する場合と、一定金額を採用する場合がある。
アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)
基本データ
データ名 | 意味 |
---|---|
PV(Planned Value:計画価値) | ある時期までにプロジェクトに割り当てられた計画予算、経過口に経営者承認済の変更を加えたベースライン。 |
AC(Actual Cost:実コスト) | ある時期までにプロジェクトのために支出された費用の累計値で、直接費、間接費を含む。 |
EV(Earned Value:達成価値) | ある時期までに着手した作業に割り当てられていた承認済み予算の合算値。単純な場合は、総予算に作業進捗率を掛けた値となる。 |
EV分析による指標値
指標名 | 計算式 | 意味 |
---|---|---|
CPI(Cost Performance Index)コストパフォーマンス指数 | CPI=EV/AC | ある時期までに着手した作業に割り当てられていた予算値と実際に支出されたコストの比率。この値が1より大きいとコストは予算内である。 |
SPI(Schedule Performance Index)スケジュール効率指数 | SPI=EV/PV | ある時期までに着手した作業に割り当てられた予算値と当初計画値とのコスト比率。この値が1より大きいとスケジュールは守られている。 |
CV(Cost Variance)コスト差異 | CV=EV-AC | ある時期までに実際に着手した作業に割り当てられていた予算値と、その時期までの費用支出学との差。この値がプラスだとコストは予算内である。 |
SV(Schedule Variance)スケジュール差異 | SV=EV-PV | ある時期までに実際に着手した作業に割り当てられていた予算値と、当初計画されていたその時期までの予定費用との差。この値がプラスだとスケジュールは守られている。 |
予測指標値
指標名 | 計算式 | 意味 |
---|---|---|
BAC(Budget At Completion)完成時総予算 | - | プロジェクト完成までに使用することを予定した総予算(プロジェクト完成時点におけるPV) Budgetは「予算」の意味 |
EAC(Estimate At Completion)完成自総見積もり | EAC=AC+(BAC-EV)/CPI | プロジェクトの途中で見積もった、プロジェクト完成時点で支出されると予想されるコストの見積額 Estimateは「見積もり」の意味 |
VAC(Variance At Completion)完成時差異 | VAC=BAC-EAC | プロジェクトの途中で見積もった、プロジェクト完成時点での予算と見積もりとの差異 |
ETC(Estimate To Completion)残作業見積もり | ETC=EAC-AC | 現時点からプロジェクト完成時までに必要なコストの見積額 |
EACの算出には3パターンある
- EAC=AC+(BAC-EV):作業の全ては予算レートで達成される
- EAC=BAC/CPI:現在までの進捗状況が将来も続くとの期待を前提としている
- EAC=AC+((BAC-EV)/(CPI*SPI)):ETCの作業はCPIとSPIの両者を考慮した効率で実行されると考える
残作業効率指数:TCPI(To-Complete Performance Index)
残りの作業で達成すべきコスト効率を示す指標
BACに基づくTCPI:TCPI=(BAC-EV)/(BAC-AC)
EACに基づくTCPI:TCPI=(BAC-EV)/(EAC-AC)
EACが求められている場合は、EACに基づくTCPIが優先される。
プロジェクト品質マネジメント
計画
品質マネジメントの計画
品質の評価方法を決めて、品質基準を定義するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書(スコープ・ベースライン)
- プロジェクト文書(要求事項文書、ステークホルダー登録簿)
- 組織体の環境要因(規則、標準)
- 組織のプロセス資産(品質方針)
プロジェクトスコープ記述書に受け入れ基準が含まれる
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集(ベンチマーキング)
- データ分析(費用便益分析、品質コスト)
- 意思決定
- データ表現
- テスト及び検査計画
- 会議
アウトプット
- 品質マネジメント計画書
- 品質尺度
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
実行
品質のマネジメント
「品質のマネジメント」プロセスは、組織の品質マネジメント計画を品質活動の実行に移すプロセスである。
作業プロセスの監査をするプロセス
品質目標を満たすことと、効果のないプロセスや低品質の原因を特定する可能性を高めることができる。
「品質のコントロール」プロセスの結果を使用し、プロジェクトの全体的な品質に関する状況をステークホルダーに示す。
プロジェクト全体を通して実行される。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(品質マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(品質尺度、品質コントロール測定結果)
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- データ収集
- データ分析(プロセス分析)
- 意思決定
- データ表現
- 監査
- デザイン・フォー・エックス
- 問題解決
- 品質改善方法
アウトプット
- 品質報告書
- テスト・評価文書
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
監視・コントロール
品質のコントロール
「品質のコントロール」プロセスとは、作業結果が基準に適合しているかを確認するために、作業結果をモニターするプロセスである。
テストを行うプロセス
プロジェクト全体を通して実行されるプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(品質尺度、テスト・評価文書)
- 承認済み変更要求
- 成果物
- 作業・パフォーマンス・データ
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- データ収集(統計的サンプリング)
- データ分析
- 検査
- テストとプロダクト評価
- データ表現(特性要因図、管理図、ヒストグラム、散布図)
- 会議
アウトプット
- 品質コントロール測定結果
- 検証済み成果物
- 作業パフォーマンス情報
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
品質マネジメント計画書
品質とは何か、その品質をどうやって検証するかを定めたもの。
- プロジェクトが利用する品質基準
- プロジェクトの品質目標
(例)バグの発生は月に2回以内、活動としては成果物のレビューをやる。 - 品質に関する役割と責任
- 品質レビューを受けるプロジェクトの成果物とプロセス
- プロジェクトのために計画された品質のコントロール及び品質マネジメントの活動
- プロジェクトで利用する品質ツール
- 不適合、是正処置の手続き、継続改善の手続き
品質の定義
「本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」
「どのくらい要求事項をみたしているの?」というのが品質
顧客満足
顧客満足には以下2つが必要となる。
要求事項適合性
要求された仕様通りに作られていること
使用適合性
プロダクトやサービスは真のニーズを満足させる必要がある。
エンドユーザーにValue(本当の価値)を提供できていること。
品質と等級
等級とは「同一の用途であっても技術的特性が異なる成果物に定めた区分」のこと。
等級が低いものは受け入れられるが、品質の低いものは受け入れられない。
(例)高級車も一般車も「人を乗せて走る」という点では品質を満たしているが、加速や乗り心地に差がある(技術的特性が異なる)。これが等級である。
品質方針
プロジェクトが適応すべき品質に関するガイドラインであり、組織のプロセス資産に含まれる項目である。
品質方針はトップマネジメントによって公式に表明されるべきであり、品質計画プロセスのインプット情報となる。
一般的にプロジェクトにおいては母体組織の品質方針をそのまま採用する場合が多い。
母体組織が品質方針を持たない場合には、プロジェクトマネジメントチームが品質方針を設定する必要がある。
ベンチマーキング
品質マネジメントの計画を行う際の、データ収集方法の一つ
現在のプロジェクトのやり方を、過去の類似したプロジェクトにおけるやり方と比較して、改善策を考えたり、パフォーマンスを測定したりすること。
元々は、靴修理の職人が修理の際、顧客の足を測定することをベンチマーキングと呼んでいた。(顧客の足を「ベンチ」にのせ、マーキングしていた。)
統計的サンプリング
検査対象用の母集団から一部だけ抽出(サンプリング)してその一部の情報から全体を推定する方法
±2σ(母集団の95.44%いないであれば適合)と判断したり、±3σ(母集団の99.73%いないであれば適合)と判断したりする。
計数サンプリング
サンプリングによる適合の判定で、検査の対象となる各ユニットの特性が存在するかしないかに注目する品質測定方法
Yes、Noで答えられるもの。
例えば、身長が100cm以上かどうかという特性にはYes、Noで答えられる。
計量サンプリング
サンプリングによる適合の判定で、適合の度合いについて連続的尺度を用いて測定した結果の等級付けをする方法
例えば、身長が「100未満」「100〜150」「150〜200」「200以上」のように等級が付けられる。
品質コスト
品質コストとは、製品やサービスの品質を達成するために費やされるコストのこと。
一般に、誤りを予防するコストは、検査または不具合を修正するコストに比較するとはるかに少ない。
適合関連コスト:予防コスト、評価コスト
予防コスト(prevention cost)
品質問題の発生を事前に防止するコスト
品質計画、レビュー、品質システム監査、訓練など
- トレーニング
- プロセスの文書化
- 装置
- 正しく処理する時間
評価コスト(appraisal cost)
製品の適合度を評価するのに必要なコスト
- テスト
- 破壊テストによるロス
- 検査
不良コスト
内部不具合コスト(internal failure cost)
手直しや廃棄などにかかるコスト
外部不具合コスト(external failure cost)
検査や返品などにかかるコスト
デザイン・フォー・エックス
設計時に製品のライフサイクルの各段階を考慮しながら、設計を進める手法
エックスはライフサイクルの各段階のことで、複数のエックスを考慮に入れて設計する。
設計段階で後のこともしっかり考えるのでコスト削減などの効果が期待できる。(手戻りを減らせる)
具体的には、組立容易性、環境負荷性、製造容易性、保守容易性、リサイクル性などがある。
品質報告書
開発中や提供中のシステムが、どの程度品質を保証品質を保証できているかを報告する資料
品質マネジメントのアウトプットとして作成される。
システム全体の品質ではなく、システム開発の工程なども品質に含まれる。
プロジェクト品質の期待を満たすために是正処置をとることができる。
管理図
安定しているかどうか、管理されているかを見るもの。
プラマイ3シグマを設定、それを超えたらアウト、線上はセーフ
いずれか片側に7回連続したらアウト(ルールオブセブン)
標準偏差
データが平均値の周辺でどの程度バラついているのかを表す指標
±σ:全体の68.26% のデータが含まれる。
±2σ:全体の95.44%のデータが含まれる。
±3σ:全体の99.73%のデータが含まれる。
ウォークスルー
ウォークスルーとは本来歩いて通り抜けること。
プログラムの仕様やプログラムそのものに誤りがないかどうかを、プログラム全体にわたってチェックすること。
チーム内部で気軽に行うレビュー
ピア・レビュー
「peer」は能力が対等な人、あるいは、同僚という意味を持つ。
業務の成果物を立場や職種が同じ(または近い)人がレビューすること。
インスペクション
インスペクション(検査)は成果物が文書化された標準に適合するかどうかを決定する構造化された試験
事前に定められた手順とチェックリストに従って第三者がレビューを行う、最も形式的なレビュー方法
品質機能展開(QFD:Quality function development)
顧客のニーズを収集し、分類、優先順位付けを行い、顧客の要求する品質レベルや、顧客の期待する機能など顧客の期待を起点として、具体的な活動の目標を設定する技法
品質尺度
プロジェクトまたはプロダクトの属性と、その属性をどのように測定するか記述したもの。
品質がどのように測定されるかをまとめ、文書化したもの。
(例)バグの発生率
プロジェクト資源マネジメント
計画
資源マネジメントの計画
チーム資源、物的資源を見積り、獲得し、マネジメントし、活用する方法を定義するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書(品質マネジメント計画書)
- プロジェクト文書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ表現(階層構造図、責任分担マトリックス)
- 組織論
- 会議
アウトプット
- 資源マネジメント計画書
- チーム憲章
- プロジェクト文書更新版
アクティビティ資源の見積り
プロジェクト作業を実施するのに必要な資源を見積るプロセス
このプロセスの後に「アクティビティ所要時間の見積り」が続く。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(資源マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(アクティビティ属性、アクティビティ・リスト、コスト見積り、資源カレンダー)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- ボトムアップ見積り
- 類推見積り
- パラメトリック見積り
- データ分析
- PMIS
- 会議
アウトプット
- 資源要求事項
- 見積りの根拠
- 資源ブレークダウン・ストラクチャー
- プロジェクト文書更新版
実行
資源の獲得
アクティビティを完了するのに必要な資源を確保するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(資源マネジメント計画書、調達マネジメント計画書、コスト・ベースライン)
- プロジェクト文書(資源カレンダー、資源要求事項)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 意思決定(多基準意思決定分析)
- 人間関係とチームに関するスキル(交渉)
- 先行割当
- バーチャル・チーム
アウトプット
- 物的資源の割当て
- プロジェクト・チームの任命
- 資源カレンダー
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
チームの育成
各プロジェクトメンバーのスキル、コンピテンシーを上げて、チームを育成し、チームのパフォーマンスを高めるプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(資源マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(プロジェクトチームの任命、資源カレンダー)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
トレーニングの内容と、対象者がインプットされる。
ツールと技法
- コロケーション
- バーチャル・チーム
- コミュニケーション技術
- 人間関係とチームに関するスキル
- 表彰と報償
- トレーニング
アウトプット
- チームのパフォーマンス評価
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
チームのマネジメント
メンバーのパフォーマンスを追跡し、フィードバックを提供し、課題を提供し、状況によりチーム変更をマネジメントするプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(資源マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(チーム憲章)
- 作業パフォーマンス報告書
- チームのパフォーマンス評価
ツールと技法
- 人間関係とチームに関するスキル(コンフリクト・マネジメント、感情的知性)
- プロジェクトマネジメント情報システム
アウトプット
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
- 組織体の環境要因更新版
監視・コントロール
資源のコントロール
プロジェクトに割り当てられ、配賦された資源が計画通りに利用できることを確実にし、資源の計画に対する実際の利用を監視するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(資源マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(物的資源の割当て、資源要求事項)
- 作業パフォーマンス・データ
- 合意書
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- データ分析(代替案分析、費用便益分析、パフォマンスレビュー、傾向分析)
- 問題解決
- 人間関係とチームに関するスキル(交渉、影響力)
- プロジェクトマネジメント情報システム
アウトプット
- 作業パフォーマンス情報
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
プロジェクト資源マネジメントの主要概念
プロジェクト・マネージャは次のようなチームに影響を及ぼすさまざまな側面を認識すべきである。
- チーム環境
- チーム・メンバーの地理的配置
- ステークホルダー間のコミュニケーション
- 組織の変更マネジメント
- 内外の政治的な関係
- 文化的な課題と組織の独自性
- プロジェクト・パフォーマンスを変えるようなその他の要因
プロジェクト資源マネジメント計画書
資源の獲得方法や、人的資源の育成・マネジメント方法、資源の管理方法について定義した文書
- 資源の特定
- 資源獲得のガイダンス
- 役割と責任、権限、コンピテンシー
- プロジェクト組織図
- チーム資源のマネジメントについてのガイダンス
- トレーニング戦略
- チーム育成の方法
- 資源のコントロール
- 報償や表彰に関する計画
ハーズバーグの衛生理論
ハーズバーグは動機付け理論として、人のやる気の源泉を「衛生要因」と「動機要因」の2つに分けて説明する。
衛生要因は不満足要因とも言われ、作業環境や給与など一定以上でないと不満が起こるという要素であり、一定限度以上を確保する必要があるが、必要以上にしても意欲の大きな向上にはつながらない。
同期要因は満足要因ともいわれ、達成感や自己成長など、満たされるほどやる気が出てくる要因で、その満足感には際限がない。
この理論では達成感のある職務設定こそ重要だということになる。
感情的知性(EI)
感情的知性とは、感情を冷静的に分析する能力で、自他の個人的な感情だけでなく、集団の共感度も特定、評価、マネジメントする能力である。
これを身につけることによって、効果的なチーム運営が可能になり、従業員の離職率の低下につながるとも言われている。
感情的知性の4つの能力
- 自己認識
- 自己管理
- 社会的認識
- 人間関係管理
RACIチャート
RAM(Responsibility Assignment Matrix:責任割り当てマトリックス)
どのワークパッケージに誰が責任を持っているかを記述したマトリックス表
大規模プロジェクトではさまざまなレベルでRAMが作成される。
RACIチャートはRAMの代表的なものの一つ
コンフリクトマネジメント
撤退や回避
解決を諦め、対立の解決について議論することを放棄する。
解決にならないのでLose-Loseの関係になる。
鎮静や適応
意見の異なるところより意見の同じところを強調することで調和を図る。
一時的な対応で対立の先送りなので、結局はLose-Loseの関係になりやすい。
妥協や和解
双方が完全な解決を諦め、ある程度の満足で我慢する方法
双方とも不満が残るが一応の解決となる。
強制や指示
解決策を他方に押し付ける対立解消方法なので、一方的に押し付ける側がWin、押し付けられた側がLoseになる。
短期の解決策としては有効だが後に問題を生じる可能性があり、好ましくない。
マネージャーとしては最後に選択すべき手段
協力や問題解決
互いの一方的な主張だけではなく、異なった視点からのいろいろな見解も盛り込んで両者が納得できるような合意を得るように努める方法である。
うまくいけばWin-Winの関係につながる。
意思決定は早すぎたり遅すぎたりすると裁量の判断にならない。
コロケーション
チームメンバーのパフォーマンスを向上させるために、チームメンバーを物理的に同一の場所に集結させること。
協業チーム
広い見識を持つスペシャリストがいる自己組織化チームのような、集中と協業を最大化するチーム構造
変動性が高く、上司からの指示が期待できないようなプロジェクトで有利となる。
フェーズ
論理的に関連のあるプロジェクト活動の集まり。どのようなフェーズを定義するかはプロジェクトごとに変わってくる。
一つ以上の成果物の完了を持って終了する。
ここのフェーズには立ち上げ、計画、実行、集結のプロセスがある。
フェーズの例
- 概念設定
- 実現可能性検討
- 顧客要求検討
- ソリューション開発
- 設計
- プロトタイプ
- 構築
- テスト
- 移行
- 試運転
- マイルストーン・レビュー
- 教訓
フェーズ・ゲート
あるフェーズを終了し、次のフェーズに移行する時に行う。
それまでのプロジェクト状況を参照して、プロジェクトの変更、中止を検討するタイミングになる。
フェーズ・ゲートで参照されるプロジェクト文書、ビジネス文書
- ビジネス・ケース
- プロジェクト憲章
- プロジェクト・マネジメント計画書
- ベネフィット・マネジメント計画書
トレーニング
トレーニングコストはプロジェクト予算に組み込むか、あるいは追加するスキルが将来のプロジェクトに有効である場合に、母体組織が援助する。
資源カレンダー
個々の特定資源が利用可能な場合、それらの作業日、シフト、始業終業時刻、休日を特定したもの。
資源の利用を見積もるのに使われる。
資源要求事項
ワークパッケージ、またはアクティビティを完了するために必要とされる資源のタイプと量を特定した文書
組織ブーレークダウン・ストラクチャー(OBS:organization breakdown structure)
プロジェクトのアクティビティやワーク・パッケージレベルで、既存の部署、ユニットまたはチームとの関係を階層的に示した図
資源ブレークダウン・ストラクチャー
必要とされる資源を、その種類によってカテゴリー分けし、階層的に図示したものです。
カテゴリーにはヒト、資材、装置、サプライなどがあるがプロジェクトに応じて調整していく。
プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
計画
コミュニケーションマネジメントの計画
プロジェクトのニーズに基づいた、プロジェクト・コミュニケーション活動のための適切な取り組み方と計画を策定するプロセス
どんな情報を、いつ、誰にどのように伝達するかを考える。
ステークホルダー・エンゲージメントの計画と同時進行
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書(ステークホルダー・エンゲージメント計画書)
- プロジェクト文書(要求事項文書、ステークホルダー登録簿)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- コミュニケーション要求事項分析
- コミュニケーション技術
- コミュニケーション・モデル
- コミュニケーション方法
アウトプット
- コミュニケーション・マネジメント計画書
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
実行
コミニュケーションのマネジメント
プロジェクト情報の適時かつ適切な収集、生成、配布、保管、検索、マネジメント、監視、最終的な破棄が確実に行われるようにするプロセス
コミュニケーションマネジメント計画書に従い、ステークホルダーから情報を収集し、配布する。
予期しない情報の請求にも対処する必要がある。
プロジェクト全体を通して実行される。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(コミニュケーション・マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(変更ログ、品質報告書、リスク報告書)
- 作業パフォーマンス報告書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- コミュニケーション技術・方法・スキル
- プロジェクトマネジメント情報システム
- プロジェクトの報告
- 人間関係とチームに関するスキル
アウトプット
- プロジェクト伝達事項
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
- 組織のプロセス資産更新版
監視・コントロール
コミニュケーションの監視
コミュニケーション・マネジメント計画書に従い、情報伝達が正しく行われているかを監視し、適切な対応を行うプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(コミニュケーション・マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(プロジェクト伝達事項)
- 作業パフォーマンス・データ
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- プロジェクトマネジメント情報システム
- データ表現
- 人間関係とチームに関するスキル
- 会議
アウトプット
- 作業パフォーマンス情報
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
コミュニケーション・マネジメント計画書
以下の内容を含む
- ステークホルダーのコミュニケーションについての要求事項
- 報告言語(グローバルプロジェクトの時)
- 情報配布の理由(正当性)
- 報告対象者
- コミュニケーションツール
- エスカレーション手続き
- 認可手順のワークフロー
積極的傾聴
理解の妨げとなる障壁を認め、明確化し、確認し、除去することである。
具体的には、相手の気持ちや考えを相手の立場に立って理解する態度、あり方のことで、相槌を打つことや頷きながら聞くことなどが含まれる。
相手の言ったことを繰り返すというのが一番重要なテクニック、発言のポイントを確認できるとともに、話し手が、自分の発言を相手が真剣に理解しようとしていると感じることができる。
書面コミュニケーションにおける5C
書面によるコミュニケーションにおいて、次の5つの項目(5C)に注意することによって誤解を減らすことができる。
- 正しい文法と正しい記述(Correct:正しい):内容への信頼低下を防ぐ
- 簡潔な表現と過剰な言葉の排除(Concise:簡潔):よく練られたメッセージ
- 明確な目的と読み手のニーズに合った表現(Clear:明確):相手の関心ごとに沿った説明
- アイデアのわかりやすく論理的な流れ(Coherent:筋の通った):マーカー、キーフレーズの活用
- 言葉とアイデアの流れのコントロール(Control:制御):グラフィックと要約の活用
プロジェクトメンバーとチャネルの数
プロジェクトメンバーの数をnとした場合、コミュニケーション・チャネルの数は以下のようになる。
コミュニケーション・チャネル数=n(n-1)/2
コミュニケーションのマネジメント
プロジェクト情報の適時かつ適切な収集、生成、配布、保管、検索、マネジメント、監視、最終的な破棄が確実に行われるようにするプロセスである。
コミュニケーションマネジメント計画書に従い、ステークホルダーから情報を収集し、配布する。
プロジェクト全体を通して実行される。
プロジェクト・リスク・マネジメント
計画
リスク・マネジメントの計画
プロジェクトのリスク・マネジメント活動を行う方法を定義するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクト・マネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ分析
- 会議
アウトプット
- リスク・マネジメント計画書
リスクの特定
プロジェクトの全体リスク、個別リスクを特定し文書化するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(リスク・マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(前提条件ログ)
- 合意書
- 調達文書
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集(ブレーンストーミング、チェックリスト、インタビュー)
- データ分析(根本原因分析、前提条件と制約条件の分析、SWOT分析)
- 人間関係とチームに関するスキル
- プロンプト・リスト:リスク区分のあらかじめ決められたリスト(PESTLEなど)
- 会議
アウトプット
- リスク登録簿:個別リスクの詳細
- リスク報告書:個別リスクの要約とプロジェクトの全体リスク要因に関する情報
- プロジェクト文書更新版
リスクの定性的分析
リスクの発生確率、プロジェクトへの影響を評価して個別リスクに優先度をつけるプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(リスク登録簿)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集
- データ分析(発生確率・影響度査定)
- 人間関係とチームに関するスキル
- リスク区分化
- データ表現(発生確率・影響度マトリックス)
- 会議
アウトプット
- プロジェクト文書更新版(リスク登録簿、リスク報告書)
リスクの定量的分析
リスクの定性的分析を行った後で、各リスクがプロジェクトにどの程度影響を与えるかを数量的に分析するプロセス
全てのプロジェクトで必須というわけではないが、実施する場合はプロジェクト全体を通して実施される。
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(スケジュール・ベースライン、コスト・ベースライン)
- プロジェクト文書(リスク登録簿)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集
- 人間関係とチームに関するスキル
- 不確実性の表現
- データ分析(シミュレーション、感度分析、期待金額価値分析、デシジョン・ツリー分析、インフルエンス・ダイアグラム)
アウトプット
- プロジェクト文書更新版(リスク報告書:リスク定量的分析の結果を反映)
リスク対応の計画
プロジェクトの全体リスクと個別リスクに対処するために、選択肢の策定、戦略の策定、対処処置を決定するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(リスク登録簿)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集
- 人間関係とチームに関するスキル
- 脅威の戦略
- 好機への戦略
- コンティンジェンシー対応戦略:発生時対応策
- プロジェクトの全体リスクのための戦略
アウトプット
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版(リスク登録簿、リスク報告書)
リスク登録簿には対応戦略、2次リスク、残存リスクが記載される。
実行
リスク対応策の実行
合意済みリスク対応計画を実行するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(リスク・マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(リスク登録簿、リスク報告書)
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- 人間関係とチームに関するスキル
- プロジェクトマネジメント情報システム
アウトプット
- 変更要求
- プロジェクト文書更新版(リスク登録簿:リスク対応策を実施した結果が記載される、リスク報告書)
監視・コントロール
リスクの監視
リスク対応計画の実行を監視し、新しいリスクを特定し、リスクプロセスの有効性を評価するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(リスク・マネジメント計画書)
- プロジェクト文書(リスク登録簿)
- 作業パフォーマンス・データ
- 作業パフォーマンス報告書
ツールと技法
- データ分析(予備設定分析)
- 監査
- 会議
ここでの予備設定分析はコンティンジェンシー予備にプラス、マイナスの影響を与えるリスクが発生した際に、コンティンジェンシー予備の残量と、残存リスクを比較するのに使われる。
アウトプット
- 作業パフォーマンス情報
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版(リスク登録簿)
- 組織のプロセス資産更新版
リスク登録簿は当たらなリスクの追加、対応不要となったリスクの更新が行われる。
リスク・マネジメント計画書
- リスク戦略
- 方法論
- 役割と責任
- 資金調達(必要な資金を特定)
- タイミング(リスクマネジメント計画を実行する時期を特定)
- リスク区分
- ステークホルダーのリスク選好
- リスクの発生確率と影響度の定義
- 発生確率・影響度マトリックス
- 報告書式
- 追跡調査
事象リスク
事象リスクとは「イベントリスク」と呼ばれ、それが発生するかどうか分からないリスク
例えば、自然災害が発生するかどうかは分からないので事象リスクとなる。
非事象リスク
それが発生することは確実だが、その結果が変動することやそれに関する知識が不完全なことで発生するリスクのこと
特定の事象以外(何かイベントが発生するということではない)で発生するリスクのこと。
非事象リスクには以下の2つのタイプがある。
変動リスク
計画された事象、活動または決定のいくつかの重要な特徴について不確実性があることによって発生するリスク
計画時に定めたパラメータが実際には計画から離れること。
(例)
- 生産性が目標を外れる。
- テスト中に見つかったエラーの数が予想とずれる。
対応策としては、起こり得る結果を統計的に分析し、起こり得る結果の広がりを減らすための処置をとることなどがある。
曖昧さリスク
将来起こるかもしれない不確実なこと。
知識や、理解の不足によるリスクのこと。
(例)
- 技術的解決策を想定できない。
- プロジェクト固有の複雑さ。
対応策としては、「外部の専門家から知識を得る」「アジャイルなど漸進的に開発を進める」「プロトタイプを作る」などがある。
緊急リスクと回復力
緊急リスクは、発生した後でしか認識できないリスクから発生することが多い。
対応策としてはプロジェクト回復力を高めるという対応がある。
プロジェクト回復力を高める例
- 緊急リスクに対する適正な予算、スケジュールの策定
- 緊急リスクに対応できる柔軟なプロジェクトプロセス
- 頻繁なレビュー
ステークホルダーのリスク選好
各組織や個人によって、リスクの受け入れ方は異なる。このことをステークホルダーのリスク選好と呼ぶ。
チームがプロジェクト・リスクの等級付けを定義するために利用される。
RBS(Risk Breakdown Structure)
リスクの領域と原因に応じてリスクを階層的に整理して図示したもの。
例えば、「プロジェクトマネジメント」の下位要素として「見積り」「コントロール」「コミュニケーション」がある場合、各要素ごとにリスクを検討し、ツリー構造で記載する。
漏れなくリスクを抽出することができる。
各要素のリスクの洗い出しはブレーンストーミングなどを用いる。
リスク対応戦略
リスク報告書
プロジェクトの全体リスク要因に関する情報とともに、特定されたプロジェクトの個別リスクに関する要約情報を提示する。
プロジェクト・リスクマネジメント全体を通して順次作成される。
プロジェクト調達マネジメント
計画
調達マネジメントの計画
プロジェクトの調達に関する決定を文書化し、手法を明確にし、納入候補を特定するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- ビジネス文書
- プロジェクトマネジメント計画書(スコープ・ベースライン)
- プロジェクト文書(マイルストーン・リスト:納入者の納期)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産(契約タイプ、契約形態)
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集(市場調査)
- データ分析(内外性分析)
- 発注先選定分析
- 会議
アウトプット
- 調達マネジメント計画書
- 調達戦略
- 入札文書
- 調達作業範囲記述書
- 発注先選定基準
- 内外性決定
- 独自コスト見積り
- 変更要求
実行
調達の実行
納入候補から回答を得て、納入者を選定し、契約を締結するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(調達マネジメント計画書、コスト・ベースライン)
- プロジェクト文書
- 調達文書(入札文書、調達範囲記述書、独自見積り、発注先選定基準)
- 納入候補のプロポーザル
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産(適格納入者リスト)
ツールと技法
- 専門家の判断
- 広告
- 入札説明会
- データ分析(プロポーザル評価)
- 人間関係とチームに関するスキル(交渉)
アウトプット
- 選定済み納入者
- 合意書(契約)
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
監視・コントロール
調達のコントロール
調達先との関係をマネジメントし、契約上のパフォーマンスを監視し、適切な変更と是正を行い、契約を終結するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 合意書(契約)
- 調達文書
- 承認済み変更要求
- 作業パフォーマンス・データ
ツールと技法
- 専門家の判断
- クレーム管理
- データ分析(パフォーマンス・レビュー)
- 検査
- 監査
アウトプット
- 終結済み調達
- 作業パフォーマンス情報
- 調達文書更新版
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- 組織のプロセス資産更新版(教訓リポジトリ、調達ファイル)
調達マネジメント計画書
プロジェクトが組織外から調達を行う場合、その方法や方針を定めたもの
以下のような内容を記載
- 調達活動のスケジュール
- 調達評価メトリックス
- 役割と責任
- 制約条件・前提条件
- 支払いが行われる法的直轄と通貨
- 独自見積もりについて
- リスク・マネジメントの課題
- 参加が見込まれる納入者
BIM(Building Information Modeling:ビルディングインフォメーションモデリング)
コンピュータ上に作成した三次元の建築デジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加した建築物のデータベースを作成し、設計、施工、維持管理のあらゆる工程で情報活用を行うもの。
これを活用すれば、コストと時間が大幅に削減できる。
調達の契約タイプ(契約支払いタイプ)
定額契約
あらかじめ一括した総額を取り決める方式、一般に予定より費用が嵩むことが多いので、納入者にとっては赤字となるリスクが大きい。
経済価格調整付き定額契約(FPEPA:Fixed Price with Economic Price Adjustment)
納入時期が長期になる時、インフレ率や原材料コストなどの変動を調整することをあらかじめ取り決めておく方式
定額インセンティブ・フィー(FPIF:Fixed Price Incentive Fee)
完全定額制(FFP:Firm Fixed Price)
実費償還契約
発生した正当な費用(コスト)に利益相当分の報酬(フィー)を加えて支払う方式
予定より大きい費用が発生しても支払いを受けられるため納入者にとってはリスクが少なく、購入者にとっては結果的に支払いがかさむ可能性があるというリスクがある。
コスト・プラス・パーセンテージ(CCPC:Cost Plus Percentage of Cost)
コスト・プラス定額フィー(CPFF:Cost Plus Fixed Fee)
コスト・プラス・インセンティブ・フィー(CPIF:Cost Plus Incentive Fee)
コストに加えあらかじめ取り決めたインセンティブ・フィーを支払う。
ただし、インセンティブ・フィーが支払われるのは、契約で定めたパフォーマンス目標を達成した場合のみ。
コスト・プラス・アワード・フィー(CPAF:Cost Plus Award Fee)
購入者がある基準以上の実績と評価した時に費用の支払いに加えてアワード(賞金)を一方的判断で支払う方式
タイム・アンド・マテリアル契約(T&M)
単価だけ決めておいて、かかったお金をお客さんが払ってくれる契約
実費償還型と定額型の両方を複合させた方法
緊急性が高く、作業スコープに曖昧さや不確実性を残している場合、タイム・アンド・マテリアル契約が最も適している。
内外製分析
外部からの調達をするかどうかを判断するために、モノやサービスを自社で生産した場合と、外部から調達した場合でどちらが得かを判断すること。
発注先選定分析
最小コスト
資格のみ
調達活動の価値が比較的小さいために、完全な選定プロセスの時間やコストを必要としない場合に適用される。
品質ベースあるいは最高技術プロポーザル・スコア
提案された技術的ソリューションの品質に基づき評価される。
品質及びコスト・ベース
コストとの比較に基づいた品質が重要な要素になる。
単一候補
固定予算
利用可能予算を開示し、予算内で最もランクの高い技術プロポーザルを選定する。
調達戦略
調達戦略の目標は、プロジェクトの達成方法、法的拘束力のある合意のタイプ、調達フェーズを通して調達がどのように進められるかを決定すること。
具体的には下記のようなものがある。
- 達成方法:どのような業者にどのような依頼の方法をとるか。
- 契約支払いタイプ
- 調達フェーズ:調達の順序やフェーズをどうするか、各フェーズでどのような監視を行うかなどを決める。
プロポーザル
proposalは「企画、提案」の意味
業務の委託先などを選定する際に、複数のものに目的物に対する企画提案をしてもらいその中から優れた提案をおこなったものを選定すること。
作業範囲記述書(SOW:Statement of Work)
直訳すると「仕事の声明」
プロジェクトの目標や成果物の定義などを定義した文書、以下のような項目が含まれる。
- ビジネス・ニーズ
- 成果物スコープ(目標、作業内容、製品の仕様、必要なサービス、スケジュール)
- 戦略計画(組織のビジョン、ゴール、目標)
調達SOWは調達品の詳細(買う範囲)を記述したもの。
調達作業範囲記述書
スコープ・ベースラインから調達の契約に含めるスコープの部分だけを抜き出して定義した文書
納入候補者がプロダクト、サービスを供給する能力が本当にあるかどうかを判断できる十分な細かさで記載されている必要がある。
以下のような情報を含む
- 仕様
- 必要量
- 品質レベル
- パフォーマンス・データ
- 実施期間
- 作業場所
BOM(Bill of Materials)
部品表といい、製品組み立てに必要な部品を階層的に表で示したもの。
IFB(Invitation for Bid)
入札招請書といい、納入候補者に入札を依頼する文書のこと。
RFP(Request for Proposal)
提案依頼書といい、納入候補者に提案書の提出を依頼する文書のこと。
ADR(Alternate Dispute Resolution)
裁判に代替する紛争解決手段
裁判によることなく法的なトラブルを解決する方法
仲裁、調停、あっせんなど
コレスポンデンス
協力会社との対応履歴のこと。
不満足なパフォーマンスへの警告や契約変更、内容の明確化など購入者と納入者の特定のコミュニケーションのこと。
調達ファイル
契約上の記録と補足資料が収められたもの、組織のプロセス資産として残される。
完了済み契約を含め、索引を付した契約文書一式を作成し、最終プロジェクト・ファイルに含める。
プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント
立上げ
ステークホルダーの特定
プロジェクトのステークホルダーを定期的に特定し、ステークホルダーの関心、関与、相互依存、影響に関する情報を分析し、文書化するプロセス
ステークホルダーの特定はプロジェクト憲章作成の前後に初めて実施される。必要に応じて繰り返されるが、各フェーズが開始された時、及びプロジェクトや組織で著しい変更が生じた際は必ず実施する。
インプット
- プロジェクト憲章
- ビジネス文書(ベネフィット・マネジメント計画書)
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 合意
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
プロジェクト憲章には主要なステークホルダーが含まれる。
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集
- データ分析(ステークホルダー分析)
- データ表現(権力・関心度グリッド)
- 会議
アウトプット
- ステークホルダー登録簿
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
計画
ステークホルダー・エンゲージメントの計画
プロジェクト・ステークホルダーの関与を促す手法を決定するプロセス
インプット
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書(スーテークホルダー登録簿)
- 合意
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- データ収集
- データ分析
- 意思決定
- データ表現(ステークホルダー関与度マトリックス)
- 会議
アウトプット
- ステークホルダー・エンゲージメント計画書
実行
ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント
スーテークホルダーのニーズや期待に応え、課題に対処し、スーテークホルダーの適切な関与を促すためにステークホルダーとコミュニケーションを取り、協働するプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(ステークホルダー・エンゲージメント計画書)
- プロジェクト文書(変更ログ、課題ログ、ステークホルダー登録簿)
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- 専門家の判断
- コミニュケーション・スキル
- 人間関係とチームに関するスキル
- 行動規範
- 会議
チーム憲章で定義されている行動規範はチーム・メンバーだけでなく、他のステークホルダーにも期待される振る舞いを設定する。
アウトプット
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版(ステークホルダー登録簿:新しいステークホルダーが出てきたら登録する)
監視・コントロール
ステークホルダー・エンゲージメントの監視
ステークホルダーとの関係を監視し、ステークホルダー関与のための戦略をテーラリングするプロセス
インプット
- プロジェクトマネジメント計画書(ステークホルダー・エンゲージメント計画書)
- プロジェクト文書
- 作業パフォーマンス・データ
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ツールと技法
- データ分析
- 意思決定
- データ表現
- コミュニケーション・スキル
- 人間関係とチームに関するスキル
- 会議
アウトプット
- 作業パフォーマンス情報
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
スコープ・クリープ
プロジェクト・スコープがコントロールされずに拡大すること。
ステークホルダー・エンゲージメント計画書
スーテクホルダーがプロジェクトに生産的に関与してもらうための計画書
キーのステークホルダーの現状の関与度と望まれる値などが記載される。(ステークホルダー関与度マトリックス)
プロジェクト登録簿がインプットになる。
以下のようなことが記載される。
- 主要なステークホルダーの「望ましい」関与度と「現在」の関与度
- 現在のフェーズにおけるコミュニケーション要求事項
- ステークホルダーに配布する情報、頻度、密度、内容など
- 上記の情報を配布する理由とステークホルダーの関与により予想される影響
関与度は以下の5つ
- 不認識:プロジェクトと潜在的影響を認識していない。
- 抵抗:プロジェクトと潜在的影響を認識しているが変化に抵抗する。プロジェクトの作業や成果を支援しない。
- 中立:プロジェクトを認識しているが指示も抵抗もしない。
- 支援型:プロジェクトと潜在的影響を認識しており、作業と成果を支持する。
- 指導:プロジェクトと潜在的影響を認識しており、プロジェクトの成功を確実にするため積極的に関与する。
突出モデル(セイリエンスモデル)
権力(自分の意志を通す力)、緊急性(直ちに対処する必要性)、正当性(参加の正当性)の丸を描いたベン図を作って、対応を分類する。
プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ
事業戦略があり、それを達成するためのポートフォリオがあり、ポートフォリオを達成するためのプログラムがあり、プログラムは複数のプロジェクトで構成されている。
プロジェクト
独自のプロダクト、サービス、所産(result)を創造するために実施する有機性のある業務
プログラム
関連プロジェクト、サブプログラムのかたまりのこと。
プロジェクト個別のマネジメントでは得られないベネフィット(便益)を得られる。
「ダイエットプログラム」などと同じ意味
ポートフォリオ
プロジェクト、プログラム、サブポートフォリオ、定常業務のかたまり
ポートフォリオマネジメントは組織の戦略的な目標を達成するためにポートフォリオ(何をやるのか)をマネジメントすること
プロジェクトライフサイクル
プロジェクトの始まりから終わりまでにはいろいろな活動が連なっている。
この全体をプロジェクトライフサイクルという。
予測型(Predictive)ライフサイクル
ウォーターフォール型ライフサイクルとも呼ばれ、プロジェクトのスコープ、タイム、コストを初期フェーズで決定し、計画通りにプロジェクトを進めることを重視する。
適応型(Adaptive)
反復型(Iterative)ライフサイクルと漸進型(Incremental)ライフサイクル
プロジェクト、フェーズにおいてアクティビティが何回か繰り返されるもの。
反復型では、一連の繰り返しの中で成果物が作られれ、漸進型では繰返しごとに継続的に機能が追加されていく。
アジャイル型
ステークホルダーを巻き込んで変化に追随しつつ、プロジェクトを進めるもの。
反復型、漸進型に比べて反復期間が短い。
変更駆動型または適応型(狭義)とも呼ばれる。
スコープの定義が容易でないプロジェクトで、ステークホルダーに分割的な価値が提供できる場合に適している。
ハイブリッド型ライフサイクル
予測型ラフサイクルと適応型ライフサイクルの組み合わせ。
例えば全体的に予測型で進めつつ、不確定要素が多い部分だけ適応型とするなど。
アジャイル
イテレーション
設計、開発、テスト、改善などの一連の工程を短期間で繰り返す、開発サイクルのこと。
1つのイテレーションは1週間から4週間になる。
レトロスペクティブ
各イテレーションの終了時に行う振り返りのための場である。
そこでは、チームがもっと効率を高めることができるよう、自分たちのやり方を最適に調整する。
インセプションデッキ
プロジェクトの全体像(目的、背景、優位性、方向性)を端的に伝えるために伝えるためのドキュメント
プロジェクトの「Why」と「How」を明確にする。
自分たちはどうしてこのプロジェクトに取り組むのか、開発しようとしているプロダクトのコアとなる価値は何か、顧客に届けたい価値は何かといった質問に答えていくことで作成する。
プロジェクトの屋台骨を明確にし、共通認識を持つことによって迷った時の指針になる。
インセプションは「初め」「発端」、デッキは「床」なので、「初めの床」のようなイメージ
プロダクト・バックログ
まだ対応されていない要求事項の集まりのこと。
イテレーションを開始する前に、プロダクト・バックログから要求事項を取り出し作業対象とする。
要求事項がまだ妥当なものであるかを確認するために、(イテレーションの切れ目などで)バックログを定期的に見直すことが必要になる。
プロダクト・バックログ・アイテムの作成は開発者に委任することができる。
記載される項目は以下
- フィーチャー
- 変更
- 不具合対応
- 技術的な改善
- 知識の獲得
よくできたプロダクト・バックログの4つの特徴(DEEP原則)
- 詳細度(Detailed appropriately)
- 創発性(Emargent):最初に全部出せるのではなく、後から出てくる
- 見積もり(Estimated)
- 優先度付け(Prioritized)
ユーザー・ストーリー
ユーザー・ストーリーは「誰(ステークホルダー)」が「なんのために」「何をする」ということを表現すること。
アジャイル型プロジェクトでは、成果物への要求事項をユーザー・ストーリーの形式で記述することが多い。
テンプレートとして「◯◯として、XXをしたいそれは、△△だからだ」がある。
(例)営業担当者として、顧客情報を出力したい、それは顧客情報の棚卸しをする必要があるからだ。
以下の6つの原則(INVEST)に従うと書きやすいとされている。
- Independent(独立している)
- Negotiable(交渉可能である)
- Valuable(価値がある)
- Estimable(見積もりができる)
- Small(小さい)
- Testable(テストできる)
エピック
ユーザー・ストーリーに落とし込む前の一歩手前のまとまった作業のこと。
DoR(準備完了の定義)
アジャイルにおけるプロジェクトを開始する準備ができているかの条件
(例)開発するための情報が揃っている、スプリントで完成させるサイズになっている
作業を開始するための依存関係としても捉えることができるため、予測型のアクティビティ依存関係と捉えることができる。
(例)作業Aと作業BがFS関係の場合、Aの完了はBの開始条件、すなわちDoRを満たすことを意味する。
DoD(完了の定義)
ストーリーの実施結果をステークホルダーにレビューしてもらえる状態かどうかを判定するための条件
(例)関連ドキュメントの更新が完了しているか。ユニットテストをクリアしているか。レビューを受けているかなど
グルーミング
主な作業は以下
- バックログ・アイテムの作成と詳細化
- バックログ・アイテムの見積もり
- バックログ・アイテムの優先順位付け
スクラム・フレームワーク3つの柱
- 透明性:成果物や定義、擁護のチームによる共通理解
- 検査:作業の妨げにならない範囲で成果物を頻繁に検査すること
- 適応:許容度を超えるプロセスの不備に対する調査を速やかに行うこと
スウォーミング
無数の虫が一つの場所や、標的に群がって何か行うこと。
ソフトウェア開発では、1つのタスクにチーム全員もしくは複数人が集まって作業すること。
集団的コード所有権
チーム全体でコードを所有することで知識を共有し、全体のスタイルを統一するXPの手法
チームスピリットを育てる、作成したコードの継承を容易にするといったメリットがある。
受け入れテスト駆動開発
プロダクトが意図した通りに動作することを顧客に証明するためのテストを前提とした開発手法
ユーザーストーリーに付随する受け入れテスト基準をチーム全体が集まって事前に作成しておく。
この受け入れ基準はビジネス用語(全員が読める自然語)で記述される。
ディスプリント・アジャイル・デリバリー(DAD)
いくつかのアジャイルのベストプラクティスを包括的なモデルとして統合したフレームワーク
以下5つの役割が存在する。
- プロダクトオーナー
- チームリーダー
- アーキテクチャーオーナー:ソリューション設計全体の作成と進化を促進する人
- チームメンバー
- ステークホルダー
ユーザー・ストーリー・マッピング
今回のリリース対象である要件とMVPを決定する。
時間の経過とともに作成される一連の高付加価値フィーチャーを理解するのに役立ち、バックログでの欠陥を特定し、ユーザーに価値を提供するリリースを効果的に計画する有用なモデルに作業を体系化するための資格的な実務慣行
リーン開発
プロセス内作業の最小化、フローの最大化、作業の継続的な流れ、ボトルネックの削減といった特徴がある。
仮説構築⇨実験⇨学び⇨意思決定のプロセスで動く
不確実性のあるものを開発していくという点で、アジャイルと、リーンは共通点があるが、アジャイルがより優れた商品の開発を目指すのに対して、リーンは顧客や市場の開発をすることが目的となる。
リードタイムとサイクルタイム
リーン生産方式の用語として使われる。
リードタイムは、工程に着手してから全ての工程が完了するまでの所用期間、発注から納品までの全期間
サイクルタイムとは、一つの製品の工程開始から完了までの1サイクルに実際にかかる期間、1つの製品を何秒で作れるかという時間
SAFe(Scaled Agile Framework)
企業規模でアジャイルプラクティスを導入するための一連の組織、およびワークフローのパターン
優先順位付け技法
狩野モデル
狩野先生が作ったモデル
対象機能をBasic、Performance、Excitementに分類する。
Basic:あって当たり前、なければ不満(車のエンジンがかかるなど)
Performance(一元的品質):あれば満足、なければ不満(燃費がいい)
Excitement(魅力品質):あれば満足、なくても仕方ない(車内にWifi搭載)
MoSCoW
機能を下記に分類し、MVPを特定
- Must:必須
- Should:対応すべき
- Could:できれば対応
- Won't:当面不要
一対比較法
ストーリをペア単位で比較し、優先順位を決定
100ポイント方法
各ステークホルダーに100ポイントを与え、全てのストーリーに対して投票し優先順位を決定
インパクト・マッピング
ソフトウェアのスコープおよびその背景にある仮説を可視化したマップ
WHY(なぜ)、WHO(誰が)、WHY(なぜ)、WHAT(どうやって)をマインドマップの形式で表したもの。
用語
OPM(Organizational Project Management)
組織が適切なプロジェクトに取り組み、重要な資源を適切に割り当てられるようにすること。
ポートフォリオ、プログラム、プロジェクトを体型的にマネジメントすることができ、組織の戦略的なビジネス目標が達成できる。
「Organizational」は「組織の」という意味の英語
ローリング・ウェーブ計画法
モンテカルロ・シミュレーション
システム的に乱数を発生させてシミュレーションを行うこと
名前の由来はカジノで有名なモナコの都市「モンテ・カルロ」
ノミナル・グループ技法
ブレーンストーミングに投票プロセスを付け加え、得点によって優先順位をつけたり合意を形成する。
要求事項の収集プロセスの技法の一つ。
ノミナル(nominal)は「名ばかりの」「有名無実の」といった意味になる。
点数によって名ばかりでも優先順位を決めようという技法でもある。
プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図
各アクティビティの依存関係を表示したもの。
アクティビティを全て書き出して、開始から終了まで、アクティビティの前後か関係を図にする。(Aが終わったらBの作業に着手できるなど)
ウェビナー
Webとセミナーを合わせた造語で、インターネット上で開催するセミナーのこと
リアルタイム型とオンデマンド型(録画した動画を流す)の2種類がある。
イネーブラ
PMIにおいてタスクに関連づけられた作業の実例
例えば「人」ドメインのタスク「コンフリクトをマネジメントする」のイネーブラとしては「コンフリクトの進行度と原因を判断する」「コンフリクトのコンテキストを分析する」などがある。
コンテキスト
文脈、前後関係、事情、背景といった意味を持つ英単語
IRR(Internal Rate Return:内部収益率)
投資資金をどれくらいの期間で回収できるかを考慮し、投資の効率性を測る指標
IRRは「投資額」と「各年のキャッシュフローの現在価値の総和」が等しくなるように設定した割引率のこと
プロジェクトの利回りとして捉えることができる。
割引率
将来得られる金額は現在価値に割り引いて算出する必要がある。
お金は利息によって増えるので、現在価値と将来価値が異なる。年利5%の場合割引率は0.05となる。
将来価値=現在価値✖️(1+r)のn乗
現在価値=将来価値/(1+r)のn乗
rは割引率、nは年数
事業価値
事業活動から得られる正味(余分なものを取り除いた本当の中身)の定量化可能な便益
便益は有形、無形、もしくはその両方であり得る。
無形要素の例としてブランド認知度や公益性が挙げられる。
プロジェクト・イニシエーター
プロジェクトの発起人や、創始者を指す言葉
元々の「initiator」の意味は化学反応を起こさせるものという意味がある。
ディシジョン・ツリー分析
複数の選択肢・代替案がある中で期待金額価値(EMV)を比較しながら最良の選択をするための意思決定手法
ステアリングコミッティ(ステコミ)
ステアリング(Steering)は「舵取り」、コミッティ(Commitlee)は「委員会」なので、運営委員会のこと
大規模なプロジェクトなどで利害調整や意思決定などを行う、関係者の代表者で構成された組織
投資対効果(ROI:Return on Investment)
投資利益率
ROI=利益/投資額
ワイヤーフレーム
簡単なブロックダイアグラムにより、成果物の要素、配置、デザイン、インタフェース使用などを示し、ステークホルダーからフィードバックを得るのに効果的な手法
Webページのレイアウトを決める設計図に用いられる。
DiSC
個人の行動傾向を「D」主導型、「i」感化型、「S」安定型、「C」慎重型の4つのパターンに分類し、他者への関わり方を円滑にするための自己分析ツール
MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)
ユングのタイプ論をもとにして、性格を4指標と16タイプで分類するツール
exit Criteria(終了条件)
エグジット・クライテリアはあるプロセスを公式に完了させるため、ステークホルダーが承認した条件のセット、未完了のタスクが官僚と見做されるのを防ぐ。
アジャイルのDoDと同じ。
ティール型組織
ティールとは英語で青緑色のこと。組織の形態を色で表して、望ましい分類に割り当てた色が青緑色であるためこの名前で呼ばれる。
社員それぞれが、自由に変化し続け自分達の使命を感じながら、個々人の意思決定によってありのままに動く次世代型の組織
ガバナンス
直訳すると「統治、支配、管理」
健全な企業経営を行うために求められる管理体制の構築や、企業の内部統治のこと
コンプライアンス
直訳すると「追従、応諾、即応」
企業活動による法令遵守のこと、国や地方自治体の定めた法令だけではなく、社内規範、社会規範、企業倫理についても含まれている。
内部統制
企業の不祥事を防ぎ、業務を適正に遂行していくための社内体制を意味する。