貸株について
貸株とは
自分が保有する、現物株式を証券会社に貸し出して、貸株料を受け取る仕組みの事。
株を借りた証券会社は、それをさらに機関投資家に貸し出して金利を得る。機関投資家は借りた株を空売りに使う。
株を貸している状態でもそのまま売ることができる。
メリット
貸株料(貸株金利)を受け取ることができる。年利0.1%~10%。
デメリット
配当、株主優待を受け取れない
貸株をすると名義が貸出先に移るため、その状態で権利確定日を迎えると、配当や株主優待が受け取れなくなる。
配当は、権利日に貸株を行っていても「配当金相当額」という形で受け取ることができる。ただし、「配当金相当額」は配当の税引き後の相当額に減額されるうえに、雑所得となるので確定申告をして税金を払わなければならない。(※年収2,000万円以下のサラリーマンで年末調整を行う場合、雑所得が20万円以下の場合は確定申告不要。)
このデメリットへの対応として、証券会社では「優待取得設定」「配当取得設定」という設定を提供している。設定しておくことで、優待や配当の権利確定日に、貸している株を一時的に返却してくれる。
設定については、証券会社ごとに異なるようなので確認が必要。
この設定を行った場合、株が返ってくるのは権利確定日のみである。株主優待で長期保有特典がある場合は、企業が権利確定日以外で保有株主をチェックしている場合があり、そのチェックから漏れてしまうと長期保有の株主から外れてしまうので注意が必要。
貸株をしている証券会社が倒産した場合貸株は帰ってこない
通常、証券会社は自分の資産と顧客資産は分けて管理することが義務付けられており(顧客資産の分別管理)、それでも返却が難しい場合は、日本投資者保護基金から1顧客あたり1,000万円を上限に補填される。
貸株は、名義が証券会社に行ってしまうので、上記は適用されない。貸株をしている状態で証券会社が倒産した場合、株は帰ってこない。
貸株についての自分の考え方
メリット、デメリットを調べたうえでの自分が貸株をやるかどうかという判断は、ややネガティブである。
まず貸株金利だが、金利が高いのはリスクの高い銘柄であり、私の保有銘柄の金利は、ほぼ年利0.1%であった。100万円を貸株しても1,000円にしかならない。
デメリットを考えると、万が一証券会社が倒産した場合自分の全財産を失うことになりかねない。
さらに、きちんと配当、優待がもらえる設定になっているか。長期保有特典がある銘柄を貸株にしていないか、と神経を使う必要がある。実際に間違って長期保有特典のある株を貸株してしまい、保有年数がリセットされてしまった方もいるようだ。
私の投資方針は、高配当株を少しづつ株を買い増しして、そこから生まれる利益を得ようというものなので、その源泉を人に貸すというのは(実質損はしないとしても)気分があまり乗らない。
また、SBI証券では、株主優待の自動取得設定はできるが、配当金の自動取得設定はできないとのこと。配当金を通常通り受け取るには配当日の度に貸株設定を解除する必要がある。(楽天証券、マネックス証券、松井証券などは、配当の自動受け取り設定ができるらしい)
ただし、自分としては、気になったことはなるべくやってみようと思っているので、かじるくらいにやってみることにした。
SBI証券で貸株設定
貸株サービスの申し込み
1.「口座管理」「貸株」を開くと、貸株の利用にサービスの申し込みが必要というメッセージが表示されるので、申し込みのリンクをクリック。
2.株主優待の自動取得設定で「優待優先」を選択して設定を進める。上述したが、SBI証券では配当の自動受け取り設定はできない。
3.後は案内に従って進めていくだけ、完了画面が表示される。
ここで、気になったのは信用口座を未開設の方は、保有証券が全て貸し出されるとのこと、普通の感覚だと「デフォルトOFFだろ!」と思うのだが…。
また、完了画面では長期保有特典に関する注意事項も表示された。
貸株をやってみる
申し込みの翌営業日に、貸株画面を見てみると現在の貸株状況がみられるようになっていた。私は信用口座を開設しているので、デフォルトで貸株されることは無いようだ。
貸株を行うには、「口座管理」「口座(円建)」「貸株」「貸株振替」の画面で設定できる。試しに東急建設を貸株設定してみる。1日に受け取れる金利が表示されてわかりやすい。
取引パスワードを入力して登録すると設定が完了した。設定は本日中に完了し、金利計算の参入は2日後から行われるようだ。
貸株の入金額を確認
「口座管理」「貸株」タブ、「貸株入金明細」を開いて検索する。
入金:貸株金利 入金内訳
銘柄コード:検索したい銘柄コード(1720)
毎日、0.55円くらい入金されているようだ。
少し気になった事
ところで、少し気になったのが、100株を保有しているにもかかわらず、貸株設定をできない銘柄があった。
この設定できない株は、最初にミニ株で単元未満で購入し、後から追加購入して100株にしたものだった。
カスタマーサービスセンターに電話して単元株にまとめることで、貸株できるようになるらしい。
カスタマーサービスセンターに電話して株をまとめてもらい、無事に貸株完了。
ちなみに
SBI証券での貸株金利は下記URLから確認可能
https://site0.sbisec.co.jp/marble/account/japan/ratelist.do